第24ターン クー子、プレイキャラを決める
格ゲーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
「なんだこりゃ?このキャラをアタイがプレイするノダ?」
クー子が驚きを隠せない。それもそのはず。クー子のかつてのプレイキャラは元気印の女子プロレスラー、セイント・リカ。どうも雰囲気が違い過ぎる。
「オイッ、ヨウヨウ!何だか前のとは随分と雰囲気が違うぜ。」
不意打ちを食らった純も率直に感想を述べる。事務長ヨウヨウがクー子に勧めたキャラは業界第三の格ゲー『都市伝説』からのダウンロードコンテンツ、くノ一のマイコ。ヨウヨウの言い分はこうだ。
「マイコは動きがスピーディーで、そこそこ火力もある。ある意味リカに似ているワ。」
そう言うと、ヨウヨウはコントローラーをクー子に渡してCPU対戦を勧める。
意を決したのか、それならばとクー子は対戦相手にアメリカンな空手家、ゲンを選ぶとマイコの試運転を始めた。
ダイナミックな動きにたなびく長い黒髪、たわわに揺れる豊満なバストが今にもはみ出しそうだ。
様子を見ていると、このキャラの独特のフォルム、ムーブにクー子もいくらか当惑しているようにも見える。
「うーむ、どうも見ているだけでムラムラして来ますなぁ〜ムッシュ・ムラムラ!」
源五先輩が思わず唸ってしまうと純も照れくさそうに何だか意味分かんねえよなあ、このエロスキャラは!と嬉しい悲鳴を上げている。何考えてんだか、運営さんは!
「ふ〜ん。うん、まあ、いい感じナノだ。アタイ、今回はこのキャラ使ってみるよ。」
純に好評だったせいか、クー子はあっさりと、くノ一のマイコをプレイキャラにすると宣言したのだった。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病やまいのレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で高校二年生の3年目を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




