第20ターン 難問!女性陣のプレイキャラは?
格ゲーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
5人の若き格ゲーマーが揃った。すなわち純、クー子、源五先輩、蘭子、そして比留田恭介だ。新事務長のヨウヨウが彼らに念を押す。
「Jr大会は団体戦、5人が力を合わせて勝利を目指すのよ。」
「ハアッ!?セレブリティのアタクシがどしうしてド庶民達と、しかも自己破産ギリギリの女と助け合う必要があって?」
勝ちゃあいいのよ!アタクシが勝てばいいの!そう喚いてヨウヨウに食ってかかる。どうやらヨウヨウのお姉さん的な態度とそれにすっかり懐いてしまっている純が気に入らないようだ。
自己破産だとぉ〜と蘭子に今にも殴りかかろうとするクー子を制して、ヨウヨウが狂乱の令嬢に諭して言う。
「お嬢様。お嬢様一人だけが勝っても団体戦だからみんなが負けてしまうと大会から敗退してしまうんですよ。」
平明で単純極まりないリクツにハッと驚きの表情で赤面する蘭子。クー子をこいつはいいと膝を打ってカラカラ笑う。
「いずれにしても大会までの一ヶ月、力量を上げないと優勝は覚束ない也。」
比留田が腕組みしてそう呟くと純と源五先輩が然りと頷く。クー子も彼らの調子に合わせてシビアな表情をしてみせる。
「じゃあ、早速練習に入りますか、皆さん。」
ファシリテーター・ヨウヨウが、優しく若者らに投げかけると純がタンマとそれを停める。
「オイッ、ヨウヨウ!オレっち達男性陣のプレイキャラは決まっているけど、ほら、女性陣のキャラが未だ、ダロ?」
そうだった。女子二人のプレイキャラが決まっていない。クー子ご用達、セイント・リカはバトサンではラインナップされていないし、蘭子はチャンリーでのプレイ経験はあるものの、それが最適解なのかは分からない。
彼女らは自分のパッションを預ける、己のアイデンティティを仮託できるキャラの選定を行う必要があった。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病やまいのレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で高校二年生の3年目を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




