第187ターン 名勝負製造機、比留多の逡巡
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
すれ違ったままの二人、比留多と柚葉。ごく短い夏、何故か惹かれ合った陰キャと元マイルドヤンキーが残酷な運命の下、格ゲーマー生命を賭けて闘う。
そんな切ない二人に寄り添ってやりたいアラフォーの人情派ゲーマー、港町マリー。そして、それ以上に悩ましいのは昭和なゲーセンヤンキーの風情を残すマジくんだ。彼は柚葉が唯一信用する先輩だ。
明らかに体調不良の柚葉、この先日本代表Jrとして活動するのにはリスクが高すぎる。この勝負、妹分に勝たしてやりたいが、ここは比留多に敗北し格ゲーから足を洗った方がいいのかも知れない、、
そんな周囲の心配をよそに比留多と柚葉のゲイル・ミラーマッチは激しさを増す。
ソウルビームの弾打ちで距離を詰めてコンビネーションで攻める比留多に対して、しゃがみ大Kなど足技で対抗する柚葉のスタイル。二人とも守備的には絶対にならない、興行師もホクホクのスゥイングする対決だ。
残り時間はおよそ半分の50秒、双方の体力ゲージは残り半分、手数の比留多と火力勝負の柚葉の互いに譲らない展開。先に動いたのは比留多だ。
中小のソウルビームを散らして柚葉・ゲイルに再接近、距離を詰めに行くと柚葉・ゲイルは中Kの置き技で比留多・ゲイルを牽制。空手の足刀を思わせる軌道のキックで御見舞いすると、比留多・ゲイルの侵入を手堅くガード。
「お互いの攻め口を完全に掌握している格好やなぁ、、まぁ同じプレイキャラやから当然と言えば当然やけど、、」
脂汗を垂らしている万吉少年が息苦しそうな声を上げれば、純は生唾を飲み込んで興奮気味に好敵手比留多を讃える。
「ニヒルの奴はいつでも面白い対戦をしやがるぜ、まるで名勝負製造機だぜえ!」
「対戦が噛み合うのは相手の思いが分かるから。だけど柚葉ちゃんは認めたくないんやろな、、比留多くんの気持ちを受け止めるのは逆にシンドい。シンドすぎる。」
長い睫毛のmakoが独りごちる。だね、とつぶやく港町マリー。
さて、どう崩すか。。柚葉どのはゲイルの運用を完全に修めている也。こちらのコンビネーションはお見通しとなれば無料に入り込めばカウンターは必定。
比留多は弾打ちで柚葉を牽制しながら、決着の道筋を探っていた。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・む〜ど
純が属するチーム夢原のヘッドコーチ。日頃はちょっとエッチなお兄さん。実は人格者のプロゲーマー候補。
・mako まこ
純が属するチーム夢原の女コーチ、長い睫毛が印象的なチームのアイドル。北大阪出身の理系女でもある。プロになるか大学に残るか思案中。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・佐久間 柚葉 さくま ゆずは
盛岡のフリースクール、リスタートゲーミングの不思議系エースプレイヤー。比留多に強い敵意を抱く。ムエタイ戦士のガッドや米兵ゲイルの遣い手。元ヤンでもある。
・先生 せんせい
リスタートゲーミングの主催者。行き場のない若者達をゲームで連帯させ、社会復帰させるNPO活動をしているのだが、、
・阪田 万吉 さかた まんきち
大阪の格ゲーチーム、難波ドテRISEの切り込み隊長。キャラのジャンプ力を活かした通天閣殺法が得意。苦労人のようだ。
・アンコールズ あんこーるず
格ゲー常任理事国のエースプレイヤー。元地下アイドルで格ゲープレイヤーとしてメジャーデビューを目論む妄想癖のJK。口癖は「アタシの想像力では〜」
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。純は既に死んだと聞かされていたが、、、




