第186ターン 格ゲー界のおっかさん、囁く
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
アルティメット・ミラーマッチ。ゲイルVSゲイルの熱戦にはあまりにも切なく複雑な二人の関係性、つまり比留多 恭介と佐久間 柚葉のすれ違いが根底に流れている。
未だ柚葉に心を残す比留多と我が一家の不倶戴天の仇、比留多に抑え難い恨みを顕にする柚葉。そんな二人の格ゲーマーが魂を込めてコントローラーを握り締める。
「オイッ、makoちゃん!今はどっちが優勢なんだよ?」
純が自身の専属メンター、長い睫毛の格ゲーマーに情勢判断を求めると珍しく苦り切った顔つきで美貌のコーチが見立てを伝える。
「、、まぁ互角やね。でも、柚葉ちゃんが少し押してるかな、、」
う、上手い。柚葉は格段に上手くなっている。1年前の夏、自分が手解きしていた頃とは全く別人の完成度だ、と比留多は舌を巻く。
「ワッワッ!ニヒルが押されているノダ!なんか、ジャンピングニー?なのダ?」
クー子の言う通り一気に攻勢に出る柚葉・ゲイル。飛びヒザ蹴りで比留多・ゲイルを画面端に追い込んでいく。
「オイッ、ニヒル!画面端に詰まっちまったら、抜けれねぇぞ!押し戻せ、ここは正念場だって!」
日乃本 氏、分かってる!と言うかのようにソウルビームの弾打ちで反撃する比留多。これはダメージを取るというより相手の攻勢を止める為の技出しだ。
「行くノダ、ニヒル!ジャンピングニーは世界の荒鷲なのダ!」
クー子がエールに応えるが如く今度は比留多が飛びヒザ蹴りで柚葉・ゲイルにプレッシャーをかけ攻守が逆転する。
ゲイルVSゲイル。まさにミラーゲームの名前のとおり、合わせ鏡のような見応えのある"手の合う"試合展開となっている。
「だけど、二人の心はすれ違ったままなんだねぇ、、」
格ゲー界のおっかさん港町マリーが分かり合えない二人の若者達にそっと寄り添うのであった。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・む〜ど
純が属するチーム夢原のヘッドコーチ。日頃はちょっとエッチなお兄さん。実は人格者のプロゲーマー候補。
・mako まこ
純が属するチーム夢原の女コーチ、長い睫毛が印象的なチームのアイドル。北大阪出身の理系女でもある。プロになるか大学に残るか思案中。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・佐久間 柚葉 さくま ゆずは
盛岡のフリースクール、リスタートゲーミングの不思議系エースプレイヤー。比留多に強い敵意を抱く。ムエタイ戦士のガッドや米兵ゲイルの遣い手。元ヤンでもある。
・先生 せんせい
リスタートゲーミングの主催者。行き場のない若者達をゲームで連帯させ、社会復帰させるNPO活動をしているのだが、、
・阪田 万吉 さかた まんきち
大阪の格ゲーチーム、難波ドテRISEの切り込み隊長。キャラのジャンプ力を活かした通天閣殺法が得意。苦労人のようだ。
・アンコールズ あんこーるず
格ゲー常任理事国のエースプレイヤー。元地下アイドルで格ゲープレイヤーとしてメジャーデビューを目論む妄想癖のJK。口癖は「アタシの想像力では〜」
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。純は既に死んだと聞かされていたが、、、




