第16ターン ヨウヨウの新技ガイダンス
格ゲーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
新事務長のヨウヨウと純の対戦が始まった。純が操る空手家リョウはバックステップで画面中央から右側に素早く移動する。そして飛び道具の気流拳で様子を窺う。
これを軽く斜めジャンプでかわして、純・リョウとの距離をグッと詰めるヨウヨウのチャンリー。美人拳士はすかさず投げ技の荒熊倒でリョウを投げ倒す。
そしてリョウの立ち上がりざまに更にもう一度、荒熊倒を連発する。打撃を読んだ純が小パンチを合わせてきたところをガードしてヨウヨウが再度投げ技を決めた格好だ。
ざけんなぁ!と純がリョウの起き上がり際に今度は投げ技返しを狙ってきたところにヨウヨウがコントローラーの◯ボタンを素早く連打し、キックのラッシュを浴びせる。
純・リョウがヨウヨウ・チャンリーに裏をかかれて一発も打撃が入らない。悔しい純は神経症のような小キック連発を繰り出すがヨウヨウ・チャンリーにガードされダメージを与えることが出来ない。
「あ〜、純は先を読まれてジャンケン*に勝てないノダ〜際の攻防で後手を取ってばかりなノダ、、」
クー子が悔しそうに呻いて、憎たらしそうにヨウヨウを睨みつける。
[註]ジャンケンとは本作中の格ゲー、バトサンがキック、パンチ、投げ技の三つで構成されており、あたかもジャンケンのグーチョキパーのような力関係、相関関係がある。
「シッカリしなさいよ、馬鹿ゲーマー!中年女に心を読まれて、、、あー情けない!」
純の体たらくに蘭子も不満タラタラ、しかしヨウヨウに年齢口撃を加えることは忘れない。
年齢を当てこすられてあ〜怒ったゾォと口を尖らせ戯けるヨウヨウ。これを見つめる源五先輩は鼻の下が伸びるわ、股間が隆起するわで大騒ぎにとなる。
「じゃあ〜これで決めちゃうおうかな〜いいとも〜」
と、ヨウヨウがコントローラーのR1、2キーを同時に押した時、チャンリーが黄緑の光線を放ちながら廻し蹴りをリョウに撃ち込むと、純・リョウの体力ゲージはゼロになった。
「あー!あんだぁ~その技!!凄え火力じやあねえか!港のヨーコ、反則だぞ!!」
猛然と抗議する純に諭すように話すヨウヨウ。これがクリティカル・ヒット、略してクリティカ。シリーズ最新作、バトサンの新機軸だよぉ。この技の成否が勝敗を分けると言ってもいいワ。
ヨウヨウは純に優しく微笑みかけながら、コントローラーをテーブルの上に置いた。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の真ダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。女子プロレスラー、セイント・リカの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純と姉、音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病やまいのレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で高校二年生の3年目を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験のある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンの空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




