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第132ターン オレっち、新たなるステージに!

格ゲーマーの始祖、日乃本 たける。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!

 ついに格ゲー日本代表Jrの七人の候補が決まった。フレッシュプレイヤー達が会場の中央にある対戦ブースに集合し、ちょうど純を中心にして左右に三人づつ並ぶ。 


 会場からは大きな拍手が鳴り、この大会がフィナーレに近づく。これをニタニタと曰く有りげに見つめるケーシー花崎。


「アイドル志願にドロップアウト中学生、不登校の女学生に車椅子の少年、なんとも見栄えのする面々ですねぇ。」


 ねっとりと十八番おはこの「ねぇ」を奪って本家本元の高月に同意を求めると「ねぇ」と如才なく返してみせる百戦錬磨の広告屋。さらには業界の始祖の一人、ムナコの村中社長にも旨味のフレイヴァーをまぶしてみせる。


「本当にいい子たちが揃えてくれましたよ、運営サイドは。主催的にも納得の選考でしょこれは。メンバーの半数くらいは御社のザ・ナックル2にも対応してましたから、」


 格ゲー国際ユース大会のプレイゲームがザ・ナックル2になっても安心ですなぁ!と、ダンディ村中社長に下から上目遣いで言ってみせる。これにはクールなMr.ダンディも頬を緩めざる得ない。三人のベテランが顔を寄せてウヒヒと低く笑う。


 もう一方の医師、帝国大が誇る脳外科の泰斗、Dr.木浪、びっくりしたなぁオジサンは歯ぎしりを鳴らして目を右に左にしながら思案にくれる。


「あの、日乃本 たけるの子が候補に残ったか、びっくりしたなぁ。。さてさて面倒なことならねば良いが、、」


 大会は終わり、それは新たな物語、否、陰謀、ミステリィの始まりである。会場にはエンディングテーマが流れ、ロックミュージックのライブコンサートよろしく、観衆に追い出しをかける。


「オイッ、クー子!この音楽懐かしくねえか?前に夢サンが好きだって言ってた、、」 


「あー、あのTMなんとかの、ゲットなんとのさ、」


「ゲッツはダンディだろ?アヤツは面白ぇ、平成を代表する漫談家だよ。」


「アタイはゲッツより昭和のいる師匠だね、ありィ?平成でなくて昭和か、こっちは。」


 などと、大会終了の開放感からか、純とクー子がいつものツープラトンを()()()()いると、チーム夢原のヘッドコーチ、む〜どが引き上げようかとメンバー達に声をかける。すると、運営側らしき人物からしばらく待ってくれと呼び止められた。


「代表Jr候補の皆様には早速ですが、トレーニングをしてもらいます、実戦的なトレーニングです。」


つづく

人物紹介

・日乃本 純 ひのもと じゅん

 本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。


・クー子 くーこ

 純の親友マブダチ。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。


・花崎 蘭子 はなさき らんこ

 高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さはやまいのレベル。


・源五先輩 げんご せんぱい

 純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。


・比留多 恭介 ひるた きょうすけ

元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。


・日乃本 尊 ひのもと たける

 純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。


・ヨウヨウ ようよう

医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験がある、あざといアラサー。


・花崎 誇 はなさき ほこる

 格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。


・デコ、ミッチ

 クー子の友達で純のクラスメート。

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