第131ターン 全発表、格ゲー日本代表Jr候補!!
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
元帥記念公園の観衆達、すなわち格ゲー・クレイジーが固唾を呑んで発表を待つのは、格ゲー日本代表Jrの候補、その名前。
既に候補として待機を命じられている純も気になるところだ。いよいよ総合司会の暇でしょ?先生の候補を得意の前フリ付きで発表する。
「えー、代表Jr候補の発表は今でしょ!」
早くしろぉ!飽きたぞ!と会場からはブーイング、ブームの終焉を悟った司会者は慌てて本題に移る。
「格ゲー日本代表Jr候補は、!」
「アン・コールズさん、アングリーバットくん!」
優勝チームから二人が選抜され、ある意味順当な出だし、会場からも納得の拍手が起こる。
「アタシの想像力からしたら、月並みすぎて少しつまらないわ。だって優勝チームから選ぶ安易な」
アン・コールズも例によってグチャグチャと無駄口を叩くが嬉しい気持ちを隠すことか出来ない。仲間の格ゲースパイスガールズの手前、何とかはしゃぐことだけは我慢しているようだ。
アングリーバットは当然さという表情ながら少しホッとした様子で、チラリと監督のビッグバットを見遣る。表情を変えないビッグは自チームから選出が二人というのは満足がいかないのかも知れない。
「続いて、佐久間 柚葉さん、そして、、湯田 ひろき君!」
準優勝チームからも二人が選ばれた。決勝戦では引き分けに終わった中二病ひろき君の選出に会場が若干ざわつき、む〜どとmakoのチーム夢原両コーチも曰く有りげな表情に変わる。
そして、ベスト4に残った難波ドテRISEから一人、さらにベスト8でチームは破れたものの凄腕の猛者が候補に指名され、計6人のフレッシュプレイヤーが出揃った。
最後に7人目のプレイヤーは〜、暇でしょ?先生かもったいを付けてその名を告げると会場からはどよめきが沸き、観衆達は誰だ誰だと口々に声をあげる。
「純、お客がザワついているノダ、ちくと挨拶してきなよ。」
下町の太陽こと親友のクー子が粋なことを言って促すと、我らが熱血格ゲーマーは会場のド真ん中、対戦ブースへと車椅子を進める。
ゲーマー、ファン、主催に来賓、関係各位
そして運営スタッフに警備員達。元帥記念公園に集った全て人々の注目が純の一身に注がれる。
「オレっちが7人目の代表Jr、日乃本 純だ!レジェンド夢原 省吾の一番弟子だ!!」
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験がある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




