第130ターン 発表、日本代表Jrに選ばれたのは?
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
「オイッ、先公!憎っくきってよ、ニヒルに、比留多に何か恨みでもあんのかよ!ニヒルはチト変わった奴だけどよ、人様に恨まれるようなやつじやあねえ!」
仲間を悪しざまに言う事は許さねぇ、我らが熱血格ゲーマー純が「先生」に激しく抗議する。
すると、佐久間さん、どうやら柚葉という名のようだが、柚葉は両手で純の車椅子のハンドリムを掴み、今にもフェイスオフする近さで純に顔を近づける。凄まじい形相だ。
「比留多は、比留多親子はウチら親子を破産させたんだ!一家で夜逃げ同然に清水から出て行くハメになったンだよ!」
「清水?オレっち達は焼津だけどよ、おめえも静岡の人間か?」
純が柚葉に訊くが柚葉はそれに答えず比留多を知っるのか、お前は比留多の仲間かと強烈な敵愾心を露わにして繰り返す。そんな柚葉に戸惑う純やクー子達に向かって「先生」が少しばかりその事情、背景について触れる。
「柚葉ちゃんはね、家業が傾いて困っていたところに比留多親子が裏で手を回して柚葉ちゃんの実家と家業のお店を差し押さえたらしいのよ。」
だから彼女は比留多親子を恨んでいるの、ねえそうでしょ。「先生」が柚葉に水を向けると柚葉は本当に悔しく恨めしそうな顔をして俯く。
「何かよく分からないけど一方的なのダ、、どっちにしてもニヒルはもう帰ったノダ!渋谷に寄って焼津に帰るのだ!」
と、クー子が純と柚葉の間に割って入り、柚葉と「先生」を睨み返した。
「あ、アタシの想像では純くんのお仲間とそちらの女子にトラブルの過去があったのね。でもね、今はそんなことを蒸し返すよりアタシ達格ゲー常任理事国の優勝を祝うべきだと思うわ、だってアタシ達って格ゲーユース世代のトップに立ったのよ!」
このアン・コールズの発言に場内からはそうだそのとおりと、賛同の声が上がる。このアン発言を潮に柚葉と純のフェイスオフは解かれ、会場は正常化した。
あらためて司会の暇でしょ?先生が宣う。
「格ゲー日本代表Jr選考団体戦の優勝チームは格ゲー常任理事国に決定しました!皆さま盛大な拍手をお願いします!」
会場の元帥記念公園からは万雷の拍手が鳴り、格ゲー常任理事国の面々を寿ぐ。が、会場の観衆が待っているのは次なるアナウンスだ。
「続きまして、決勝戦に参加した両軍のメンバーから日本代表Jr候補を発表します。」
司会の暇でしょ?先生は手渡されたメモを開き、一つ咳払いをした。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験がある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




