第122ターン いよいよ最終決戦、赤毛のゴスロリ出陣
格ゲーマーの始祖、日乃本 尊。その息子・純が格闘ゲームのプロを目指して歩み出す。涙と感動の格ゲー青春小説第二弾!
タイムアップ。レフェリーの声が会場に響くと静かなどよめきが寄せる波のように沸き上がり、波のうねりに変わっていく。
中二病ひろき、"一人称はボク"のアレサ共に疲労困憊した様子でその精神戦の激しさを物語る。決勝戦、否、本大会の白眉ともいえるアレサとひろきの副将対決は時間切れドローで決着した。
「オイッ、中々見どころのある対戦だったぜ、二人ともお疲れ!」
純が両プレイヤーの健闘を称える一方で、む〜どとmakoが感想戦に入る。
「ひろきくんはスペシャルゲージが満タンになるタイミングを待ってたんだね。」
「その上で必殺技を放ったんだけど、なんとかそれを察知したアレサちゃんがガードに成功した、て流れやね。」
序盤からの双方アグレッシブなスタイルは相手の攻撃を受けることでスペシャルゲージが充填されることを織り込んでの選択だったのか。む〜どが思わず唸り声を上げる。
「その戦略はおそらく各々のベッドコーチからの指示のはず。新機能を早やプレイヤー達に落とし込んでいるなんて、正直驚きやわ。」
む〜どの嘆息に答えるかのように呟くmako。格ゲー常任理事国の監督、ビッグバットは業界の大立者で作戦立案にも長けているだろうが、これに伍した無名のチームReGの「先生」も指導者としてかなりの手練れということになる。
全寮制のフリースクールの「先生」は、格ゲーマーとは距離のある、生成りが似合う癒しナチュラル系だが、この副将戦では底しれないものをその穏やかな顔からのぞかせた。
彼女は一体何者なのか、新たなステイクホルダー?の登場に聡明な理系女子のmakoの頭脳もオーバーヒート気味だ。
ビッグバットにヨウヨウ、広告屋の高月にムナコ社長の村中氏、霞が関の役人達にあのDr.木浪やケーシー花崎、そして決勝戦に突如現れた謎めいた女性、「先生」。
このイベントはもはや混沌のチャンピオンカーニバル、そう言ってもいい。しかし一つの道に収斂されて行くような予感もmakoにはある。誰が糸引いてるんや、、、
いよいよ大会も大詰め。最後の大将戦で勝利チームが決まるシビれる展開に会場も興奮が抑え切れないでいる。
「オイッ、アンぱんマン!おめえが勝ったら常任理事国が優勝だよな。勇気だけが友達だ、頑張れよ!」
「あなたはアタシの応援しているの、それもと怒らせようとしているの?でもアタシの想像力からすれば、あなたはアタシの気を引こうとしてきるのよね。どうして男の子ってそうなのかしら。でも分からないことがあるのが」
「あーうるさい!!早く対戦ブースに行ったらんかい!妄想女!!」
純の含意のない真っ直ぐな声援を深読みしては歓喜の悲鳴を上げるアン・コールズ。純の単純すぎるメンタリティを知悉しているクー子がお国言葉でアンを試合へと急き立てる。
そんな小芝居をよそにReGの最終兵器が対戦ブースに向かっている。その足取りはフラフラとおぼつかない様子で、危うささえも感じさせる。
つづく
人物紹介
・日乃本 純 ひのもと じゅん
本作の主人公。高校二年生。事故で障がいを負い格ゲーでリハビリする中、自分が格ゲーのサラブレッドと知りプロを目指すことに。空手家リョウの遣い手。一人称はオレっち。
・クー子 くーこ
純の親友。児童クラブ時代からの付き合い。ハイカラな東京言葉を使うが、実は関西出身。本作では他ゲームからのゲストキャラ、舞妓を使う。
・花崎 蘭子 はなさき らんこ
高慢ちきな美少女JK。純の元相棒、花崎 誇の妹。前作では純らに敵対していた。口の悪さは病のレベル。
・源五先輩 げんご せんぱい
純のクラスメートの留年生で3年目の高校二年生を満喫中。どうやら女性に目がないようだ。プレイキャラは新世代の主役、ローク。
・比留多 恭介 ひるた きょうすけ
元蘭子の親衛隊長。ニヒリストを気取り文学をこよなく愛する格ゲーマー。一人称は小生。変な髪型の米兵、ゲイルの遣い手。
・日乃本 尊 ひのもと たける
純とその姉の音々の父。格ゲー黎明期の知る人ぞ知る英雄。
・ヨウヨウ ようよう
医療法人花崎会の新事務長。丸眼鏡の美人。格闘ゲーム、ザ・ナックルのプレイ経験がある、あざといアラサー。
・花崎 誇 はなさき ほこる
格ゲーにおける純の元相棒。あだ名はオタク族。只今、医科大学を目指して受験勉強中。アメリカンな空手家、ゲンの遣い手。
・デコ、ミッチ
クー子の友達で純のクラスメート。




