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やっと主人公登場。

 少女は、灰色の空の下で目を覚ます。

 周りを見てみれば、そこはゴミ捨て場のような場所。

 ぐうと腹の虫がなる。

 どうにも自分は空腹なようだ。食べ物やらなんやらそこらへんに落ちていないだろうか。

 少女は起き上がって周りを物色し始めた。

 

 昨晩、何をしていたのだったか。思い出そうとしたが、どうにも思い出せない。ついでにお腹空いた。

「ケホッケホッ」

 軽く咳が出る。何故か、この街は埃っぽく感じた。

 ・・・・暑い。

 何故だか、体が焼けるように暑い。視線を下げてみた。

 燃えていた。

 何がって、自分の身体が。四肢が。心臓が。それはもう、火事にあっている山のように燃え盛っていた。

「何、なに、これ?」

 何故このような症状が出ているのだろうか。

 気味が悪くなって、少女は路地裏に逃げた。

 

 自分は何者だったのだろう。

 身体がメラメラと元気に燃え盛っている頃、少女は真剣に考えていた。

 昔のことを思い出そうとも、いつまで経っても思い出せない。

 そもそも、何故あんなゴミ捨て場に捨てられていたのだろうか。

 ・・・・何も思い出せない。

 どうしたものか。何度も言っているが、自分が何者なのか、少女にもさっぱりわからなかった。


 とりあえずこの火を消す方法を考えなければ。

 少女は深い水たまりを見つけると、その中に浸かろうとした。

 怖い。寒暖差でふとした時に死んでしまうかもしれない。

 だが、この炎を消すにはこの方法しかない。彼女は覚悟を決める。

「ひゅぁぁぁぁ」

 ゆっくりと足を踏み入れただけで、なんとも言えない声が出てしまう。

 体が完全に浸かる。

 冷たさが心地よい。わかりやすいように形容するならばサウナ後の水風呂である。少女はサウナに行ったことがないが。

 水溜まりから上がると、ある程度火は収まり、あれだけ心地良かった冷たさは明確に苦しい寒さに変わっていった。

 衣服や髪は重く、歩くことも億劫になってくる。

 ある程度乾いてくれば、反対にからだが熱くなってくる。

「あっつあッ!?」

 再び燃え盛る身体。

 どうすればこの火は消えるのか。


 自分は本当に何者なのだろう。

 こんな仕打ちを食らうのなら、もしかしたら前世(仮)はとびきりの悪人だったのではなかろうか。

「・・・・それはやだなあ」

 どうしたらこの火は消えるのだろうか。

 思いついたことを色々と試してみる。

 地面に寝転がったり、濡らした布を頭からかぶってみたり、砂を掴んでかぶったり。

 できることは色々やった。

 けど、それでも火は消えない。

 どうしたら消えるんだろう。これ。

 少女は困ったような顔をした。

「とりあえず、何かしよう。何か思い出せるかもしれないし」

 だが、何かを思い出すために行動を起こそうと決意した時には、自分を焼いていた炎は消えていた。

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