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絶望




「うえ~~~ん!!!だまされたあああ!!!」

「うえ~~~ん!!!当てられなくなったあああ!!!」


 それぞれ別の場所で。

 雪女は二回目の豆まきを終えた巫女に抱き着いて。

 赤鬼は小さな蕾がなる桜に抱き着いて。

 わんわんわんと大泣きし続けた。




 いやだまされてないけど。

 巫女は思ったが、口にはしなかった。

 あの赤鬼が狐か狸が変化した姿だと思っているのならば、それでいいと思ったからだ。

 これでもう鬼を氷漬けにしようと考えないだろう。

 無駄に労力を使う必要はないのだ。


 よしよし。

 巫女は雪女の頭をやさしくなでながら、鬼は諦めて、梅にしなさいと言った。

 そうしようかな。

 雪女は思った。

 自信がなくなったのだ。

 鬼と鬼ではない存在を見分けられないなんて、自分でもびっくりだめちゃくちゃ落ち込む。

 もう、動かない梅に狙いを定めようか。

 美味しいしね。梅。




 もう諦めようか。

 赤鬼は思った。

 もうちょっと。感覚だが、あともうちょっとで福神になれそうな、気がしたのだ。

 なのに。

 ピタリと止んだ豆まき。

 熱の籠った目だったのに、突如として豹変したのだ冷たい目に。絶望していたと言ってもいい。

 自分の何がいけなかったのだろうか。

 諦めよという鬼界の主のお告げだろうか。

 おまえはこのまま一生追い払われる運命だと。

 おまえはこのまま一生鬼界で苦しむ運命だと。


「くぅ」


 赤鬼は少しの間、桜の下で蹲っていたのであった。











(2024.2.1)




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