変わり始めた物語#2
ここはどこだ?
俺はうっすらと目を開ける
今までの記憶が抜け落ちている、なんだっけと
思い出そうとしてみても思い出せない
でも次の瞬間声が聞こえてきたんだ、
助けないと!とまるで瞬時の判断かのような
急いだ声で聞こえて来た。
この声が聞こえなかったら、
俺はここから出られなかった、そう思った。
まるで床が抜けたような感覚に襲われ、
気付けば道の真ん中で目を開けた。
あれ、と思い左右を見渡すと、
俺は森を背中に歩いていた。
とりあえずミサイルを撃っておこう。
ニセナガスソウを倒す一環で、できるだけ
森を燃やしておきたい。
肩から放たれたミサイルは凄まじい速さで
森へ飛んでいき爆発した、爆発時の炎が木々に移る
まるで、永遠の命を燃やす不死鳥のように見えた
紅い炎は森の中にいた魔物を焼き尽くした。
ゴブリンや、ニセナガスソウとの戦い中に
気付いたが、俺の炎は人間に危害を加えないらしい
なのでできることがあるとしたらいい感じに料理
をすることぐらいだ、なのでもし森の中に
まだ人がいても大丈夫ではある、
……衣服は燃えるかもだが、変な妄想はやめておこう。
…しかしながら、森を背中に進んでるだけで
どこに行けばいいか分かっていない
「困ったな……分からないぞ」
その言葉がキーワードだった。
頭に直接また、誰かが話しかけてきた、
システム起動
ーーこんにちは、あなたのAI、「ミルチアーノ」です。
御用件があればいつでもどうぞ。
……咄嗟の事で理解出来ていない俺だが、
とりあえず話を合わせてみようと思う
ーーーーーーーーー
あ〜駄目だ、なんかもう何もやる気力がない。
火の中で横たわる少年はゴロゴロと寝返りをうつ
時は少し戻る、火の中にあった村、夢羅村は
たった5分で火がついているだけの廃村となった。
その仕業がこの少年、彰である。
彼は、神からのGIFTがあるのである。
GIFTの名は創造と破壊
頭で想像したものを実体として具現化し、
空気、血、大地を使いその実体となったものに
力を持たせる。
だが、「絶大すぎる力」故に体力を使い過ぎてしまう
俗に言うチート性能である
「ん?」
彰は自分のGIFTでつくった半径1kmの範囲をきける
耳を人間の元からある耳の上に作り、気づく。
誰かきている?
彰は戦闘態勢になれるように創った耳を
腰に備えていた日本刀のようなもので
切断した
だが、血は一滴もでない、創ったものだからか、
耳はボトッと落ちると土になり、地面と混ざった。
彰は火の海の村をただまっすぐ進む、
地面に横たわるは子供を庇うように倒れている
家族のような焼死体が2.3グループ、
村には川が流れていた、川に飛び込むようにして橋の上で
倒れる焼死体、残るは無惨に切り刻まれた死体、
既に焼ききれていて、頭蓋骨、肋骨ありとあらゆる骨が
転がる、まるで戦争のようだ。
だが彰は立ち止まらない、彼は彼なりに死を受け止めたのだ、いや快楽とした。
精神はもう随分前に壊れていたのだ。
彼は転移者である。
話をしよう。これは少し前のお話
Episode2.変わり始めた物語
彰はただの少年であった。
真夏の暑い日、彰は家を出た
小さい頃から賢い子であった。
成績優秀、スポーツ万能、だが彼が持っていた感情は
憎悪そのものであった。
人間が嫌いだ、人間関係はすぐに裏切る
『あいつ、キモくね?』
始まりの一言であった。
親友だと思っていたやつに、急にキモいと言われる
案外、信用を失うときって笑えてくるのかもしれない。
あいつに裏切られた時も俺は 笑っていた
だから俺は人間を信用しないし、嫌いだ
この村の奴らも全員俺の嫌いなやつの顔にみえた。
殺してみると、案外楽しかった。嫌いなやつの顔が
脳裏によぎって、気づいたら殺していた。殺すことに
達成感を得られた。神には感謝している。
こんな最高なGIFTをくれたんだ存分に楽しませてもらうよ
ーーーーーーーーー
ミルチアーノの説明を一通り聞いていた時
俺は少し遠くの方で煙をあげている所をみつけた
何かある!行ってみよう
足をぐっっと踏み込み煙の方角へむかった
俺が着いたころには村らしき場所は焼き切れており
残るは灰と誰かの骨であった。
誰がこんな事を……と考えた瞬間
『右斜め上、飛来物直進してきます。』
ミルチアーノの警告で前に避けきれた。
「チッ外したか……」
若く見える少年は羽を生やし、日本刀のようなものを
その小さな拳に握りしめていた。
「君は……一体?」
「へぇ……お兄ちゃん日本語通じるんだ?
まぁロボットみたいだけど」
「俺の名前は海豚 彰
『転移者』だ。さぁ、俺は名乗ったぞ?お前も名乗れ」
「俺は……」
思い出せ。俺の名前。
磯矢?、女性の声がきこえる。
「この子は磯矢にしましょう?」
「海の近くでまるで飛び交う矢のように匂う磯、
この子は誰かによりそえる子になってほしいの。」
記憶にはない。新たなデータ。
だが、分かるこの人は……
「母…さん?」
「?何を言っているお前。これだから人間は嫌いだ。」
「……。分かったよ母さん、俺頑張るから。
俺の名前は柳 磯矢!『転生者』だ。」
転生者だと?彰は失笑していう。
「ならなんだ?磯矢、お前のギフトはその鉄の身体か?」
「まぁいい、お前は刃を持っていないようだな?」
「あぁ、」と俺が言うと彰は「クリエイト」といい。
地面の土が剣の形になり、血が混ざり出した。
血で創り出された剣は銀の刃となり。
彼が持っていた剣とほぼ遜色ないものとなっていた。
「これを使え」と彰は剣を差し出す
「見ての通り俺のGIFTはクリエイトだ。物を創ることが出来るし、破壊も簡単にできる。」
「それで行くなら俺は変形だな。物を創造するとできる限り俺の身体で再現してくれる君のようにはできないけどね?」
なるほど、と彰はあいずちをうつと。
淡々と話す
「ルールは簡単!自分のGIFTは使ってOK、相手の首をとったら勝ち。で、いいだろ?」
「……殺すしか、ないんだな?」
ああっ!と威勢よく喋る彰に静かに返事をする。
「Are you ready?」
「No problem」
2章、人を殺して三千人【完】