6.夜半
「ぅあっくしゅっ!」
宇宙的なくしゃみで、目が覚めた。あんまり大きくて、上体がみしみしと圧を受けているのを感じたほどだ。肋が若干痛む。
部屋の明かりを点け、枕もとに置いた携帯で時刻を確認する。午前のゼロ時を少し回ったくらい。夜中も夜中だ。
「寝よ」
くしゃみで起きるなんて人生初の経験だけれど、それ以上にもそれ以下にもならない。体に触れてみた感じ異常はないから、やっぱりもう一度眠るだけだ。
明かりを消すと、布団を被り直して、目を閉じる。
「……眠れん」
さっきのことで、眠気がすっかり吹き飛んでしまっていた。これでは、意識が沈むまでしばらくかかりそうだ。
規則正しい呼吸をしてみたり、何度か寝返りを打ってみたり。効果が薄いのは承知の上で、寝床の中で色々試してみる。
睡眠に苦戦していたら、ふと、何かが光った気がした。内ではない。部屋の外だ。
多少の寒さは我慢。布団を抜け出して、窓のカーテンを端からそっと押しのけた。
「明るい?」
思わず呟いてしまった。それくらい、星空が鮮明に見えた。
地方といえど、地上の照明は、夜を照らしてしまう程度にはありふれている。それゆえに、星々のきらめきが際立つ。
ぼんやり眺めていたら、ちかちかと、遠く光が二度またたいた。人工衛星かもしれない。
「たまには、いいか。明日学校だけど」
いっそ眠れないのなら。
布団を羽織って暖を取る形で、わたしはきれいな夜景を楽しむことにした。