表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/57

第15狐 「気になっている子は……」

「こむぎ、おいで~!」


 今日も、真っ白でモフモフのこむぎが飛びついて来てくれる。

 こむぎとじゃれ合うのが、一日で一番大好きな時間だ。

 肩に(あご)を乗せながら頬にスリスリされると堪らない。

 こむぎは、何でこんなに可愛いのだろう。


「ねえねえ、こむぎー」


「ケン!」


「こむぎは俺の事好き?」


「ケンケンケン!」


 こむぎが飛びついて来る。

 可愛いから、前足を持ち上げてブラブラすると、何だかモジモジしている。


「俺もこむぎが大好きだよ!」


 ジタバタするから降ろしてやると、飛びついてきて顔をペロペロ舐められる。

 本当に人の言葉が分かっているみたいだ。


「こむぎは賢いなぁ」


「ケンケンケン!」


「そうそう、今日ねクラスの陽子ちゃんから『彼女はいるの?』って聞かれたんだよ」


「ケッ……! ケハッ! ケハッ!」


 こむぎが急に咳き込んだ、大丈夫かな?


「『いないよ』って答えたら、今度海に遊びに行こうって誘われちゃった! どうしよう?」


「……」


 こむぎが急に大人しくなって、寝転がってしまった。どうしたんだろう。


「嬉しいけど。俺、気になる子がいるしなぁ」


 こむぎが急に起き上がった。今日は何だか変だな。


「学校のクラスに可愛い子がいっぱい居るんだけどね。俺が気になっている子は……『プルルルル♪』……あ、電話だ。こむぎちょっと待っててね!」


 ――――


 電話を掛けている最中は、こむぎは大人しく座って待っている。

 本当に行儀(ぎょうぎ)の良いワンコだ。

 電話は、明日提出の宿題の事だった。

 電話で宿題が有ったのを思い出して、慌てて片づけた。


 明日の学校の準備が未だだったから、こむぎの頭をひと撫でして、準備に取り掛かる。

 準備が終わると、何だか眠たくなって来たから布団に横になった。


「こむぎー、寝よっか! おいでー」


 いつもなら、直ぐに布団に(もぐ)り込んで来るのに、今日は真横で顔を覗き込むようにして、じっと見つめている。

 どうしたんだろう?


「こむぎ? どうしたの?」


 こむぎは首を(かし)げながら、時々前足で俺を触る。

 何かを要求している様だけれど、さっぱり分からなかった。


「こむぎ、今日は変だね。構ってあげたいけど、眠いや……」


 目を(つぶ)ると、前足で何度も押してくるから、その度に目を開けるけれど、眠過ぎてそのまま寝てしまった……。


 ――――


 白狐(びゃっこ)のお姿をされている美狐様が、航太殿の家から帰って来られました。

 私と(べに)様が、巫女の姿をしていると、美狐様も巫女の姿に変化(へんげ)されます。

 美狐様は何だか、微妙な顔をされていました。


「美狐様、どうかされましたか?」


「うーむ。航太殿にじらされてしもうた」


「じらされた?」


「そうなのじゃ。気になっている娘を教えると言うので、ずっと待っておったのじゃが……」


「ええ」


「言わぬまま、寝てしもうた」


 話を聞いていた紅様が高笑いをされました。


「はっはっは! 美狐様。航太殿が好きなのは、私の胸じゃ!」


(やかま)しい! お前も陽子も、ふしだらな事で航太殿を惑わせよって!」


「陽子?」


「あやつめ、航太殿を海になど誘いおって! 許せぬ」


「海かぁ、良いわねぇ。みんなで行っちゃおうよ!」


「ほう。皆でのう……」


「うんうん。決まり!」


 紅様の提案で、どうやら皆で海に行く事になりそうです。

 美狐様が『水着』の事に気が付く前に、私はその場を離れる事に致しました……。




 今宵のお話しはここまでに致しとうございます。

 今日も見目麗しき、おひい様でございました。


いつもお読みいただき、ありがとうございます!


週一程度の更新になっていますが、これからもよろしくお願いします。


感想やブクマや☆評価を頂けるととても嬉しいです!


よろしくお願いします!



磨糠まぬか 羽丹王はにお

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ