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最終話

百年兵を養うは、ただ平和を守るためである。

山本五十六(大日本帝国海軍 元帥海軍大将 連合艦隊司令長官)

開戦から1ヶ月が経とうとしていた。


与那国島、石垣島、宮古島に救護と警戒のための必要な数の部隊を残して、自衛隊JTFはそれぞれの原隊へ復帰した。共産党支配による中国が崩壊したとはいえ、先島諸島における警戒を緩めることはなく、航空自衛隊と海上自衛隊は規模を縮小しつつ警戒任務を継続した。


東京の武道館にて、殉職(戦死)した隊員達の合同葬儀が行われた。総理からは国防に殉じた隊員達への敬意と哀悼の意が表され、遺族達には政府からの十分な補償をすることが約束された。

今後の先島諸島の防衛については、石垣島への自衛隊の配備を急ぐと共に、将来的にFー35Bの搭載を目的とした航空機搭載型護衛艦(空母)の建造や更なる水陸両用戦力の拡充を表明した。


一方で自衛隊に対する非難の声も少なくなかった。以前から石垣島等で自衛隊配備に反対していた市民団体は「今回の事態は自衛隊が招いたこと」だと言い出し、人権派弁護士のグループも今回の戦闘に関わった自衛官達を殺人罪で告訴した。テレビのワイドショーでも軍事の知識に疎いタレントやコメンテーターも「戦争の準備よりも介護や教育に予算を充てるべき」と政府や自衛隊を非難した。

その一方で、自衛隊を支持する国民の声が多く、入隊を希望する青年男女も日々増えて自衛隊地方協力本部の募集担当官はうれしい悲鳴をあげているという。自衛隊官舎に「人殺し」「税金泥棒」等の誹謗中傷のビラを貼っていた数人の中年男女が一人の女子高生に説教されている動画がネットで拡散され、中年男女に対する批判のコメントが溢れ、女子高生の行動は絶賛された。

政権に批判的で自衛隊を妨害した政治家やマスコミ、そして自衛隊配備に反対していた市民団体と自衛隊を殺人罪で告訴した人権派弁護士のグループは中国系企業からの多額の献金が指摘され、「日本を売り飛ばす売国奴」と逆に世間から非難され、彼らの言葉に誰も耳を傾けようとしなかった。


無政府状態だった中国に台湾の総統が現地入りし、南京を首都とする「中華民主主義共和国」として再スタートすることを表明した。日本に対しても友好条約を結んで、先の戦闘での旧人民解放軍の捕虜達の処遇についても、彼らが希望するなら自国の国民として受け入れることを日本の外務省を通して総理に伝えた。チベットやウイグル等の旧中国の自治区に対しても主権を回復し独立国として認めることを伝えた。

新しい中国となってもいまだに戦後の混乱が続いていたので、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア、そしてフランスやドイツ等のEU各国から参加した多国籍軍は、治安維持と復興支援を目的とした国連主導の平和維持軍として駐留し、日本からも人道支援と復興支援を任務とする自衛隊が派遣された。


WHOでも中国共産党との関係が疑われていたテドリスが事務局長の座を追われ、新しく就任した事務局長の主導で組織の改革が図られた。同時に新型肺炎ウイルスに対するワクチン開発も進み、早ければその年の年内に実用化されるという朗報が世界中に伝えられた。

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