表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最愛の怪物  作者: 夜霧
7/7

7

 

 二人の男が来た次の日、洞窟の入り口付近で怪物と一緒に向かい合わせになるようにして座っていた。


「助かった!」

「礼を言う。ありがとう」


「…」


 青年は何も言わず、返事を返すように軽く頭を小さく下げる。


「で、悪いんだがあの洞窟にあったマジックバックなんだが、イテェ! 叩くなよクラトス!」

「馬鹿、ロッソ。こっちの事情を話さず質問をするんじゃない。すまなかった。俺達は…」


 彼らの事情を簡単に言うとこうだ。


 天獄から一番近い国から調査団として来たが、度重なる魔物の襲撃でバラバラになって二人で彷徨い歩いている内に此処に辿り着いたとの事だ。


「それで、逃げてる最中にマジックバックを落としてしまったんだ。すまないがあの洞窟にあったマジックバックを分けて欲しいのだが…」


 コクリ


 再び頭を小さく下げ肯定の意志を示す。


 あの洞窟の奥にあったマジックバックや武器や防具。あれは怪物が集めた物で魔物を狩りに行った時に稀に怪物が持って帰るのだ。


 けど使ったところは見た事がない。ただ集めるだけの様子。



「…ありがとう。それで…」


 その後、クラトスはいくつか質問をしたが青年は小さく頷くか首を横に振るだけで喋る事は無かった。


 青年はクラトスと話すのが嫌だった訳ではない。ただ、人との話し方が分からないのだ。


 最後に人と話をしたのがいつだったか、もう覚えてない。


「ところで、今更で申し訳ないのだが名前を教えてくれないだろうか」


 名前…


 自分の名前…


「……ナナシ」


 少しの間があった後、青年もといナナシは乾いた声で言った。


感想などあればお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ