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今回は別視点です。
天獄の中を二人組の男が歩いていた。だが一人は重傷でもう一人の男が肩を組みながら歩く。
「…ロッソ、俺を…置いていけ。でないと…お前まで…」
「馬鹿いってんじゃねぇ、クラトス。仲間を置いていくことなんざ出来るか!」
「…しかし、この…傷では…」
「黙ってろ。仲間と合流出来ればお前の傷は治るんだ!」
彼らは天獄から一番近い国、トリスニア国から送られた調査隊であり、入念な準備と対策をして天獄を訪れた訳なのだが魔物の群生地に入ってしまったのか、度重なる魔物の襲撃に会い遂にはバラバラになってしまったのだ。
「くそ! マジックバッグがあればなんとかなったてのに」
魔物から逃げる間に無くしてしまいマジックバッグの中には回復薬は勿論、離れた場所から仲間と連絡をする事が出来るマジックアイテムなどがあった。
それに闇雲に逃げていた為、今自分がどこにいるのかすら分からない。
焦りばかりが募っていく。
「ん? なんだ、あれ」
「…どう、した」
「いや、前の方にある木が見えるか?」
「木? …ん? …なん…だ、あれは」
二人が見たのは木に白い? いや、銀色の何かが巻き付いた木。
思わず気になって周囲を警戒しながら近づいて見てみると、糸? なのか何やら細い物だという事しか分からない。
これが一体何なのか気になるが、早いとこ仲間と合流する方が優先だ。
再び歩みを進めようとした時、
「グルギャヤヤヤヤヤヤヤヤヤ!」
進んで来た方から魔物が来る。
「ちくしょう、こんな時に!」
クラトスを下ろし武器を構えるが、全く勝てる気がしない。
それもそうだ、相手は天獄の魔物。最低でも5人以上でなければまず勝ち目はない。
それにロッソ自身クラトス程ではないが傷を負っている。
「…ロッソ、…俺が、囮に…」
「ふざけるな!」
もし、ここでクラトスの言う通り囮にして逃げれば恐らくこの場な凌げるだろう。だがこの後、魔物に見つからず仲間と合流出来る可能性は極めて低い。
そして何より仲間を囮にする事がロッソ自身許せなかった。
「来やがれ!」
自らを鼓舞する様に叫ぶ。
迫り来る魔物。勝ち目ない戦いが幕を上げようとした…筈だった。
「…は?」
決死の覚悟で挑もうとした矢先、魔物は急に何かに怯える様にして逃げていった。
突然の事に訳が分からなかったが、ひとまず危機が去ったことに安堵する。
「はぁ…、それにしても何が起こったんだ。…まさかこれか?」
背後にある木に巻き付いた銀色の糸。この銀色の糸にあの魔物は怯えたのだろうか? それしか考えられない。
「おいクラトス、大丈夫か?」
「…ああ。…何、とかな」
そうは言うが、クラトスの顔色は悪い。
「早いとこ仲間と合流しねえと。…ちくしょう、どこに向かって行けばいい?」
周りを見渡すが仲間の姿は見える筈もない。だが、代わりにあるものを見つけた。
遠くに同じ様に銀色の糸が巻き付いた木が見えた。もしやと思い、反対側を見るとそこにも遠くにだが同じ木。
更に良く見るとその奥にも同じ木が見えた。
「この先に、何かあるのか?」
魔物が来た反対方向、恐らく等間隔にある銀色の糸が巻き付いた木を境界線とした森の奥を見る。
この奥にいるのは魔物か? それとも人か?
どちらにせよ考えている時間がない。こうしている間にクラトスはどんどん弱っていく。
「一か八か賭けるしかねぇ」
一縷の望みをかけてロッソはクラトスを肩に組み奥へと進んだ。
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