1 プロローグ
はじめまして!
とりあえず5話まで投稿します。
"天獄"と呼ばれる場所がある。
そこは広大な森と山々があり、小規模な村や町ならば一匹入り込んだだけで為す術もなく壊滅してしまうようなレベルの魔物が幾らでもいる。
だが"天獄"からは希少な薬草や鉱石が存在し、また魔物の素材から作られる武器や防具は強力でマジックアイテムの素材にも使われる事が多く薬の材料にもなる。
まさに素材の天国。だが、手に入れる為には地獄を見なければならず、故に天獄と呼ばれているのである。
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天獄の数ある山の内の一つに洞窟があり、その中に1組の男女がいた。男、青年の方は壁を背にして座っている。ただ、体は傷だらけでまさに満身創痍という言葉が相応しい。
女の方は座っている青年の上から抱きついて肩に顔を埋め…、否、耳元まで裂けた大きな口で首筋に噛み付き血を吸っていた。
暫くして吸血が終わるが、女は口を離さず吸血した分の血を補うかのように何かを注ぎ込む。
青年は抵抗する事はなく、ボーっとした様子で身を任せる。
やがて注ぎ終わったのか口を離し顔を上げると、耳元まで裂けた口はゆっくりと閉じていき、やがて見た目は普通の口に戻った。
女は背筋が凍りつくかと思える程、美しい女性だった。病的なまでに白い肌。それはとてもきめ細かで、陶磁器を思わせる冷たい美貌をいっそう際立たせていた。髪は銀色で腰元まで伸びており、服はワンピースで色は髪と同じ銀色。
吸血に満足した、というように女性は柔かく微笑む。
青年は女性の微笑みを見て僅かに口角を上げ笑う。その笑みがどんな意味を持つのかは
分からない。
青年の小さな笑みを見て満足したのか女性が再び抱きつく。それと同時に女性の髪が伸び始め二人を繭のように包み込んでいった。
そんな中、青年は思う。
"やっぱり、こいつは怪物なんだ"、と
やがて髪が二人を完全に包み込むと、青年は髪の柔らかな感触と怪物の温もりを感じながら眠りについた。
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