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prologue Get lost







夢を見た。










森の中にいた。


白い霧がかかっている。

今は朝だろうか。

静かな森独特の、冷たく湿った空気が心地いい。


あてもなく呆、としていると、どこからか懐かしいような音色が聴こえてきた。


音色を頼りに歩を進める。


既に道は見失っている。


それは音色に釣られてか、それとも初めから道など無かったか。


周りには背の高い木々。

森は深すぎて、とっくに迷ってしまっている自分は、きっともう外には出られないだろう。


恐ろしいほどの静寂のなか、細い音色に導かれる。



急に視界が開けた。


そこには、小さな広場と、

横笛を吹く少女がいた。


「―――――。」


木のベンチに腰掛けた少女が、こちらに気付き、歩み寄ってくる。


誰だろう、霧のせいで貌が判らない。


「―――――。」


そして、その少女は、自分に向けて手を差し伸ばしてきた。

何のことか分からず、立ち尽くしてしまう。


しばらくして、


少女は伸ばした手を下げて、


哀しそうな表情(かお)をして、


深い霧の向こうに消えていった。


再び森に静寂が訪れる。

いよいよ霧は濃さを増し、もうすぐ先も見通せない。

それでも自分は、何も分からずただ立ち尽くしているだけだった。


手のひらを見つめる。

そこには、何度も称えられたくせに最後には肝心なものを拾い損ねた、出来損ないの神様がいた。








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