ぼくと魔女
ある夕暮れのことです。
森の中にある1人の男の子が迷い込んでしまいました。
男の子は少しベソをかきながら森の中を歩いていました。その時です。女の人の声が後ろから聞こえてきました。
「おやどうしたんだい坊やこんな森の中を1人で歩いてるなんて」
男の子が振り向くとそこには黒いマントを身につけてとんがり帽子を被った魔女が立って男の子を見下ろしていました。
「お、おばさんはどこから来たの?」
男の子は体を震わせながら弱々しい声で魔女に尋ねました。
そうすると魔女は笑いながらこう言いました。
「おやおやおばさんだなんて私はそんなに歳をとってないのよ?これからはお姉さんとお呼びなさい?」
「あ、ご、ごめんなさい」
男の子の体はまだ震えているばかりで魔女の話を聞いても ごめんなさい しか出ませんでした。
魔女はそれを見てこう言いました。
「坊やもしかしてお腹が減ってるんじゃないのかい?」
「......え?」
「坊や私の家においでなさい沢山ご飯を食べさせてあげる」
「い、いいの?」
「うん勿論さ」
「やった!お姉ちゃんありがとう!」
男の子は飛び跳ねるくらい喜びました。
魔女も喜んでる男の子を見て喜びました。
「それじゃあおいで坊や」
魔女が手を出すと男の子はその手をぎゅっと握り、「うん!」と大きく言いました。
「着いたよ坊やここが私の家さ」
魔女は大きな木を指差して言いました。
「お姉ちゃんホントにここが家なの?」
男の子は首を傾げながら言いました。
すると魔女はまた笑いながらこう言いました。
「そうさここが私の家さほらドアだって付いてるじゃないか」
魔女が指を指した場所には四角くて長いドアが木にくっついていました。
「ホントだ!木にドアがある!お姉ちゃんこれ凄いね!」
男の子は目をキラキラさせて魔女に言いました。
魔女はまたまた大笑いして言いました。
「あははははっ!まったく坊やはかわいいなこんなかわいい坊やが家に来てくれて私は嬉しいよ」
「か、かわいくないやい!僕は強いんだ!」
男の子はほっぺを赤くしながら言いました。
魔女はまた笑いながら「そうかいっ」と言って男の子の手を繋いでドアを開けました。
「さぁそこに座ってなさい今ご飯を持ってきてあげるからね」
男の子は木のイスに座りながら周りの風景を見ていました。男の子は魔女の家に目をキラキラさせてずっと見ていました。すると魔女が男の子の近くに来て言いました。
「ほら持ってきたぞ坊や沢山お食べ」
魔女は暖かいスープを男の子の前に置いて言いました。
「ありがとうお姉ちゃん!」
男の子は元気よく言うとスプーンを持って勢いよくスープを飲み始めました。
「どうだい?坊やおいしいかい?」
魔女は元気にスープを飲む男の子を見て言いました。
すると男の子は「おいしい!」元気よく言いました。
「魔女が悪い人だなんて嘘付きだ!お姉ちゃんはいい人なのに!」
男の子はスープを飲むのを止めて言いました。
「どういうことだい坊や?」
魔女が尋ねると男の子は話始めました。
「えっとねこの前僕が森に行って帰って来た時お母さんが森には怖い魔女がいるから入っちゃダメって怒ったんだ。......でもそんなことないね!お姉ちゃんはいい人だ!」
男の子は元気よく話しました。
それを見た魔女の目には涙が浮かんでました。
それを見た男の子は心配して魔女に聞きました。
「どうして泣いてるの?お姉ちゃん?大丈夫?」
魔女は泣きながら言いました。
「うん大丈夫さ......ありがとうね坊やこんな優しくしてくれるなんて」
実はこの魔女は昔男の子が住んでいた村に住んでいたのです。
でも魔女は昔から不気味がられてみんなから嫌われていたのです。
そして村の人にいじめられた魔女はこの森に家を建ててひっそりと暮らしてたのです。
そんな魔女に優しくした男の子に魔女は嬉しくて泣いていたのでした。
「ありがとう......!ありがとう......!」
魔女は男の子を抱きながら泣きました。
魔女はこの日人の優しさにさわることが出来たのでした。
終わり