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転生チート選び、失敗っ?! ~魔法属性で差別してくる社会で追放されたけど、最高の師匠に会えました~  作者: 御手々ぽんた


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最初の授業

「ところで、セフィって何者なの? ただの砂風呂屋さんじゃ、ないよね?」


 俺の質問にセフィはゆっくりと首をふる。


「そこは、師匠」


「えっ?」きょとんとしてしまう俺。


「師匠と言いなさい。それがけじめなの」


「あ、ああ。はい。師匠は何者なの?」俺は言い直す。


「何者って、どういう事が知りたいの? さっきの契約の文言の事かな?」


 と首をかしげるセフィ。

 俺は同意の頷きを返す。


「蒼金の瞳っていうのは、私の氏族名よ」


「……それだけ?」


「それだけ。ああ、闇属性カーストには養育院がないのは知ってるわね。だから私たちは各氏族で属性魔法の教授を行うのよ。さっきの契約は血族以外を弟子にするための文言だから。それでレプリは聞きなれなかったのかな」と納得顔のセフィ。


 ──いや、そういう事じゃ無いんだけどな。これははぐらかされてる?

 俺は釈然としないながらもこれ以上聞くのは無駄かと諦める。


 そこで1つパンと手を叩くセフィ。

「さて、早速始めましょうか。リコを預かるわ」


「え?」と思わず漏れる俺の声。


「闇属性魔法は、『闇を見通す眼』から始めるのよ。それには闇に包まれることに慣れていなきゃいけないの。リコちゃんがいたら明るくてそれどころじゃないでしょ?」


 俺はしぶしぶ、腕の中のリコをセフィに渡す。


「次はこれを食べて、食べ終わったらこっちを飲むの。食事、まだだったんでしょ? そしたらここで安静にしててね。ガッソには伝えておくから」


 俺は大人しく出されたものを食べ始める。

 いつもの乾燥肉とは趣が違う。堅さもだいぶあり、苦労して咀嚼すると何とか飲み込む。

 やれやれと、飲み物を口にして思わず吐き戻しそうになる。

 鼻をつく刺激臭と舌を刺す酸味。

 こちらも何とか飲み込むが、咳き込んでしまう。


「あら、初めてでちゃんと飲めたわね。えらいえらい」と背中を叩いてくれるセフィ。


「し、師匠、腐ってない、これ?」


 無言のままの優しく微笑むセフィ。


「大丈夫。必要なの、それじゃあ行くわね」


 と、それだけを告げ、セフィはリコを連れて出ていってしまった。

 闇に包まれる部屋。

 ポツンと佇んでいた俺の体は、徐々に熱を帯びてきた。

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