表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/14

一人目の師

「セフィ……。いつからそこに?」


「レプリが瞑想して、属性戸を開こうと挑戦していた所かな」とセフィ。


「属性戸ってなんの事?」俺は必死に表情を抑え、何を言われているのかわからないふりをしてみる。


「ふふ。居眠りしてたって言い訳は、さすがに無理よ」


 俺は一度目を閉じ、ゆっくりと息を吐き出す。

 頭をよぎるのは、記憶を取り戻し、追放されて荒野をさまよったこと。その原因となった全属性魔法。

 リコと出会い、ガッソに拾われ、セフィと働いてきた。前世に比べれば不自由は多いけど、それでも安定してきた生活。そして、その中で積み重ねられてきた、人との繋がり。

 そして覚悟を決めると、改めてセフィの顔を正面から見る。


 興味深そうに、どこか静かさを湛えた、誰よりも金色に輝くセフィの瞳。

 俺はその瞳に後押しされるように語り出す。

 これまでの事。自分が全属性魔法と裁定されたこと。

 そのせいで追放されたこと。

 荒野で水属性魔法を発現したこと。

 ただ、自分が前世の記憶があることは黙っていた。どうしても一抹の不安があったのだ。また、忌避されてしまうのではと。


 静かに俺の話を聞いてくれていたセフィ。


「追放者のレプリ。それで、貴方は何者になることを望むの?」


 見定めようとするセフィの金色の瞳。その静謐さに、今の俺は気圧されてしまう。それでも、絞り出すように自らを言葉に載せる。

 ここが一つのターニングポイントだと囁くのだ、俺の中の俺が。


「俺は……まだ、わからない。ただ、力がほしい。抗うために。だから俺に闇属性魔法を教えてください」


「不合格ね」


「え……」


「闇属性魔法は教えましょう。レプリ、貴方はそのままでは危険だわ。属性戸の持つ恐ろしさをまるでわかっていないもの。あなた自身と周りの人のためよ」


「あ、ああ。ありがとう、ございます? でも今、不合格って……」


「そうね。何者になることを望むのか。再び問いかけた時に、違う答えが返ってくる事を期待してるわ」


 ゆっくりと両手を差し出すセフィ。

 その手に溢れ出す闇。


「さあ、そこに跪いて。私が喋り終わったら、契約しますと言ってね」


 俺は恐る恐る膝をつく。


 俺の頭にその手をかざし、セフィは高らかに宣言する。


「セレトリーゼの娘たるサルナリアの娘、セフィア。蒼金の瞳の継承者の名において、この者、レプリと師弟の契約を結ばん」


 俺はゆっくりと1つ息をすると、覚悟を決める。


「契約、します」


 こうして、俺はセフィの弟子となった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ