電飾
月明かりに歌声が聞こえてくる。
デジャヴだ。いや、昨日と同じ夢を見ているのか。
すっかり忘れていたが、月の光を浴びた土小人たちが今日も元気に布団の周りで踊っている。
昨日と違うのは衣装がバージョンアップしていることぐらいだ。盆踊りを踊っていなければ、テーマパークのパレードのようにきらびやかだった。
その顔はやはり皆真剣そのもの。
これは本当に夢だろうか?
日が昇り桂兎の声に目を覚ます。
デジャヴだ。時計を見ればやはり目覚ましが止まっている。
『ねえ、今日で六日目だよ。卵見ても良いでしょ』
どうやら指折り数えていたらしい。
孵卵器は全自動だったので、加湿用の水を入れる以外することがなく暇を持て余していた。
「ただ開けるだけじゃないのよ。卵の中で生きてるかチェックするの」
まだ半分眠気の残る頭で検卵について説明をする。何か夢を見ていたようだが思い出せないでいた。
「あまり長く外に出すと、死んでしまうから手早くね」
二人とも手を洗い、懐中電灯を片手に検卵を始める。私にはまだ変化が分からなかったが、桂兎はうっすらと血管のようなものが見えたと喜んでいた。
卵たちは今のところ順調に育っているようだった。
「さあ、差し入れのご飯とおやつを作らなきゃ」
ゆっくり寝てしまったので、大急ぎである。
ご飯はタイマーで無事に炊けていたので、梅干しとかつお節を混ぜておにぎりにした。
いつもの卵焼きを十本焼いて、昨日の夜に作っておいたキャベツの浅漬を切る。
あんこのお菓子は、手作りのどら焼きにした。
サービスで少しバターを挟む。全部で三十個を焼いた。
荷物をすべて鏡の部屋に運び込むと、桂兎を連れて鏡を越える。荷物は一人で持てないと判断したので、屋敷を出たところにいた河童たちに手伝いをお願いした。
『この荷物はどちらに運ぶべか?』
屋敷を出たところで河童たちが訊ねた。
「モグラ商会の方々が、道の整備に来てくれてるはずなんですが」
『んだ、林の方だべか。道さ整備されたら有り難いべ』
河童たちがうきうきと荷物を持って林の方へ運んでいった。
『こりゃ何じゃ』
先頭を行った河童が目をむいて驚いている。
その後を追って行くと、目の前に林の方へ続く石畳が現れた。
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