表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/366

遭遇率

田植えを興味津々で見ていた桂兎は、始終ご機嫌だった。


田植えが終わっても中々帰りたがらないので、次も一緒に連れてくると約束してようやく帰宅する。


河童たちは初めて会った時よりも少し肉付きも顔色も良くなっていた。後は畑の作物が順調に育ってくれれば、食べ物は安心できるのに。


茶色の本を取り出しながら、カムナギに思いを馳せた。頁を開くと、ベルマークをなぞる。


リーン、リーン。


二階でかけたので、どこに出てくるかと思ったら意外にも枕の横に黒電話が現れた。


『お電話ありがとうございます。いつもあなたのお側に。モグラ商会です』

最近のキャッチフレーズは誰の趣味なんだ。


「こんにちは、三回目なのでどこを押していいか分からなくて。五番で合ってました?」

『あ、もう何処でも大丈夫ですよ。今、電話番は儂だけですから。それよりも、またお仕事いただけるのでしょうか』


ここの仕事不足も何とかならないかと思ったが、私一人では頼める仕事にも限りがある。

「カムナギの方でお願いしたいことがあるのですが」


土門との交渉の結果、酒一升瓶を五本とお昼ご飯の差し入れ、あんこのお菓子を三キロでまとまった。

どうやら前回の最中(もなか)であんこにハマったらしい。


まだ日も高かったので、今日のうちに買い物へ行くことにする。問題は一升瓶五本だ。

「やっぱり車の免許ほしいな」


袖をつんつんと引っ張られて振り向くと、桂兎が言った。

『本を買ってくれるなら、荷物持ち手伝ってあげても良い』


目的は途中の書店にあったようだ。しかし他に選択肢がなかったので渋々承諾した。

「本は一冊だけね」


道すがら、桂兎は木や草や花の薬効について私に教える。

『あそこに生えてるのは枇杷。虫刺されの薬にもなるから、漬けておくと良い。この辺りには種子のつくオニユリがたくさん生えてるから、りん片葉を摘んでおけば薬になる』


知らずに通り過ぎていた景色に、一つずつ名前がつく。

一人で歩けば遠い道もあっという間に感じた。


目的のものを買って本屋に立ち寄り、桂兎が選ぶのを待つ。ふと、さっきの薬草の話が気になり植物コーナーを覗いてみると見知った人を見つけてしまった。


「おや、またお会いしましたね」

本日もありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ