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山羊

「山羊ですか」


こちらで売ってるのならば、是非買いたい。

向こうで、山羊を買うのは高いし何よりどこで買えばいいのか分からなかった。


『もちろん、草を食べてもらうだけでねえべ。仔を産みゃ乳も出るべ』

「値段はいかほど…それ以前に、ここの通貨が分からないですが」


河童は目を瞬かせると腕を組み、うーんと唸った。

『オラたちも、普段は通貨なんざ使わね。キュウリ採ってた時にゃカゴいっぱいで、小さな鍋一つと交換しただ。鍋の値段はたしか銅貨が十五枚だべ』

「町へ行けばいつでも買えますか?」

『次の市さ立つのは三日後、満月の日だ』


そう言うと河童は木の枝で五円玉に似た貨幣を描いた。



下見に来た目的はもう一つある。道の駅で売る手づくり市の売り物探しだ。

このままじゃ、ドクダミ茶と山菜を売る渋い店になってしまう。

もう少し人目を引く売り物も欲しかった。


しかし残念ながら見て回った甲斐もなく、売れそうなものは見つからないまま帰宅の時間が近づく。


「紅実ちゃん、そろそろ帰ろうか」

八坂くんが裏庭でぼんやりしていた私を呼ぶ。どうやら三人は屋敷の周りを探索していたようだ。


「なかなか、売れそうな物が見つからなくて」

「金柑とか売れない?」

そういって八坂くんはポケットからころころと金柑を取り出す。


「どこにありましたか?」

「屋敷の西側にある崖の上に沢山はえてた」


西?西側ってどっち?

方向音痴なので視線を彷徨わすと、指で指し示してくれた。しかし崖の上はノーチェックだった。

私は運動神経も良くないので、見つけたとしても登れるのか不安しかないが。


「あまり高くはないけど、不安なら他の人に頼んだ方がいいよ」

心配されたので、無理なら河童たちにお願いすることにする。

おかげで一つ目星をつけて、日が傾く前に帰宅することが出来た。


帰宅後、三人の見送りに玄関まで出ていると八坂くんが立ち止まった。


「明日も向こうへ行く?」

「うん、稲の苗を届ける約束してるんです」

「気をつけて、無茶しないように」

そう言って車に乗り込んだ。


車を見送って室内に入ると、玄関にゆらりと桂兎が立っている。


「びっくりした。どうしたの?」

『本が大分変わっちゃったんだ』

「書き換わったってこと?」


桂兎は首を横に振る。

『表紙にこんな模様は無かった』

差し出された本は桂兎が愛読していた本で、確か浅葱色の本だったが、無地だった表紙には鱗のような模様が浮き出していた。


「何が起きたんだろう」

桂兎から本を受け取ると、頁を捲ろうと手をかけた。


ボゥッ


一瞬何が起こったのかも分からなかったが、開いた頁から炎が巻き上がっていた。

「きゃあ!」


驚いて本を取り落とすと、炎は跡もなく消えた。

『あっ、耳に』

「え?」


桂兎に指摘されると同時、両耳に灼けるような痛みが走った。

今日も一日ありがとうございました。ブクマが増えていて嬉しいです。

作中に登場するメニューについても、ご質問あれば後書きに記載したいと思います。

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