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モグラ商会再び

リーン、リリーン。


またしても、ちゃぶ台の下から小さな黒電話が現れた。

先程のマークは気になるが、急いで受話器をとる。ガイダンスに従って二番を回すと、すぐに土門へと繋がった。


「こんばんは、いつもご利用ありがとうございます。いつも便利なモグラ商会、承りますのは土門です」

前回はこんなキャッチフレーズなかった。


「こんばんは、夜分にすみません。明日なんですが誰か手の空いている方が居れば、台所の改築を手伝って貰えないかと思いまして」


「明日ですね。就職難で手はいくらでも空いていますよ」

それはそれで心配だった。


「それでは、お支払できる対価次第でお願いする人数を決めたいのですが。日本酒の一升瓶一本と、最中(もなか)十五個入り一箱です」

「かしこまりました。明朝、頭数を揃えて伺います。お昼ご飯も支給されますか?」

「簡単なものでしたら」

「ありがとうございます!では明日、宜しくお願いします」


土小人の世界には“お昼ご飯”という概念がなかったが、赤槌に朝昼晩と食事を出していたら村で噂になっていたらしい。


「明日の朝から、お手伝いに来てくれることになりました」

二階へ戻ると八坂くんに報告をした。


「それにしても、あの働きっぷり。そのうち僕の現場にも働きに来てくれないかな」

百キロ近くはある丸太を軽々と持ち上げる怪力に、丁寧な仕事ぶりで作業も早い。

建設業界では重宝されるだろう。人の世界で姿を見られてはいけない、と言うことを除けば。


そうだ、さっきのマークを聞き忘れていた。明日は忘れず聞かなければ。明日…そう言えば前回は朝の五時に訪ねてきたことを思い出す。


「明日の朝は、土小人さんが早くに来てしまうかも。私たち先に作業を始めるかもです」

とほほ、と眉尻を下げて笑う。


「ちなみに何時に来るの?」

「前は五時でした」

皆の顔がこわばった。


「さっさと寝ようか」

八坂くんは布団に入って電気を消した。


「えー!せっかくのお泊りなんだから少しくらい、お喋りで盛り上がりたーい」

美砂ちゃんがブーイングする。


「勝手に盛り上がっとけ、俺は寝る」

「八坂がいないとつまらないでしょ。恋話とかしようよ」

「そうそう、八坂の恋話聞きたーい」

美砂ちゃんと鹿島くんは寝る気がなさそうだ。


「…俺、下で寝る」

布団を抱えると八坂くんは襖を開けた。


「とりあえず、今日は寝ませんか?恋話はまたのお楽しみに取っておきましょう」

慌てる私を見て、美砂ちゃんたちはニヤリと笑った。


「約束よ?次は紅実ちゃんの恋話を教えてもらうからね」

もう七十七回になりました。七が二つ揃ったら、縁起よく見えます。

いつもブクマと評価ありがとうございます。

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