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指輪マーク

近ごろ土曜日の夜に泊まることが恒例になっていた。


「今日の永島先生、あれ絶対わざとプレッシャーかけてるよ」

美砂ちゃんが昼間のことを思い出して、憤る。


「うちのゼミは進学組が多いから、先生も大変なんだよ」

鹿島くんが宥める。


三人は院に進学するようだった。

「建築科は進学する子が他に比べて多いの。うちのゼミは殆ど院に進んで、在学中に二級まで資格とって就職するパターンが多いから」


なるほど。

最近買った客用布団を並べながら、少し安堵していた。改築が終わっても三人と過ごす時間が続きそうだと分かったからだろうか。


今まで友だちを作ろうとしても、空回ってると思うことが多かった。仲良くしていると思う人がいても、勘違いだったこともある。

それからは、他人に期待を寄せないようにした。


「下宿をするなら、それも一つの仕事だね」

鹿島くんがさっきの話を引っ張ってきた。


「考えたんですが改築を土小人の皆さんにお手伝いしてもらう、というのはどうでしょう。下宿を始めるのなら、もっと改築しなければならない所もありますし」


「いいね!かなりスピードアップになりそうだよ。あ、そうだ鏡の向こうの話なんだけど、僕一人でも行けるようにならないかな?」

「一人で、ですか?」

「そう、向こうの建物や環境を色々と調べてみたくて」

鹿島くんは持ってきた鞄の中から、資料と思われる書類を取り出した。

「僕が専攻してるのは主にドイツやイギリスの建物なんだけど、使われている木材や設計図を調べたくて」


「ダメよ、向こうの話は人に話さないって鈴さんと約束してるじゃない。紙に残しておくのも、誰に見られるか分からないでしょ」

美砂ちゃんが慌てて鹿島くんを止める。


「メモとか書類は向こうの家に置いておくからさ。あんなに保存状態のいい何百年も前の建物が身近にあるのに、調べられないなんて…!」

鹿島くんはちょっと別人のようだ。


「いつもの病気だ。ほっといてくれ」

八坂くんが鹿島くんを無視して、家の設計図を持ってきた。


「それより明日は台所の改築予定だが、今日のペースを見ると一日では難しいかも知れない。モグラ商会の人を呼べるなら、何とか間に合うと思うんだが」

「それなら、電話して交渉してみます」


さっそく茶色の本を取りに行って、ベルマークをなぞる。

はたとマークが一つ増えているのに気がついた。


「指輪のマーク?」

おはようございます。今日も宜しくお願いします。

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