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ガーデナー

『どうしました、お通夜みたいですよ。あれ、赤槌どうした』


バリトンボイスこと、土門は戸の隙間から台所を覗くとおどけた声で赤槌に尋ねた。


『ご注文の鶏小屋が完成しましたんで、ご報告がてら酒をもらいに来ました。暗くなってきたので、確認は明日にでも』

開始からおよそ十二時間、土小人たちの仕事は優秀だった。


「ありがとうございます。お約束のお酒二本です。あの、二本持てますか?」

丸太でさえ軽々と持ち上げるのに、変なことを聞いてしまった。しかし見た目十センチほどでは、一升瓶に潰されるのではと思ってしまう。


『これくらい軽々と持てますよ!ご心配なく』

なんの気負いもなしに一升瓶を二つ担ぐと、土門さんはにこやかに答えた。

『土門さん!丁度よかった、実は儂、ヘマしちまって』

赤槌は器用にテーブルの脚を伝って降りると土門に駆け寄った。

『どうした、何があった?』


赤槌は先日のカフェでの遭遇から、今日に至るまでのことを包み隠さず説明した。

そして、世話になった就職を駄目にしてしまったと頭を下げた。


土門は怒るでもなく静かに話を聞き終わると、首を傾けながら呻る。

『聞いた限りじゃお前に落ち度はない。就職なら、さっさと次のところを紹介してやりたいが赤槌は特殊だからな』


特殊?特殊な職業とは何だろう。思わず口を挟む。

「特殊とは、赤槌さんはどんなご職業ですか?」

『儂らにも得手不得手があるんですよ。今日連れてきた三人は建築、土木に特化しています。赤槌は何というか…西洋植物に特化しとりまして』


西洋植物というと、薔薇やアマリリスのイメージが出てくる。

「頭の中に薔薇とかアマリリスしか浮かばないんですが」

『儂も似たようなもんです。うちの村じゃ変わり種でなかなか合った職場が見つからなかったので、やむなく出稼ぎ組になったんで』


きっと人の職業で言えばガーデナーとかに向いているのだろう。カフェ・フォックスグローブの見事な庭が頭をかすめた。


「あの、うちの庭で働きませんか」

おはようございます。今日もお読みいただき、ありがとうございます。

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