ドクダミメモ
あれから、母と今後について相談をした。
就職活動は少し休憩、自分の就きたい仕事について具体的に絞り込んだら再開すること。
祖父の家の修理については、父と相談して予算を決めるので、その中から費用を出すこと。
予算を超えた場合は、私のバイト代と貯金から出すことが決まった。
改修の人手については大叔母に伝手があるので、お金はかからないが制約があった。
昼食と休憩時間に出すおやつは、私が用意すること。土日祝だけしか来られない。(どうやら手伝ってくれるのは学生らしい)春休み、夏休み、冬休みは相談の上で日数を決める。
そこまで話が進んでいたのかと、ゾッとした。
断ったら、どうなっていたんだろう?
細かいことは、夜に大叔母と電話で相談することになった。
まずは次の週末に下見の予定だ。
ふと、祖父の日記を思い出した。
「お母さん、ドクダミってお茶になるんだっけ?」
「私はあの香りが苦手なんだけどね…確か胃腸を整える効果があったかな。お祖父ちゃんがよく夏前に作ってたわ」
胃腸を整えるのか、春先は胃の調子が悪いから作ってみようかな。苦手な味じゃなきゃいいな。
「ありがとう、作り方も調べてみる」
お礼を言って二階の自室に戻ると、祖父の日記を再び開いた。
なんの事はない日常に、私のこと母のこと、たまに不思議な言葉が見つかった。
よく見かける言葉をメモ帳に写す。
【扉の向こう】【カムナギの国】【エンコダス】
その他にも聞いたことのない、生き物のような名前。
「これ全部調べるのか…あ、先にドクダミのお茶を調べよう」
軽く現実逃避をした。
「ドクダミ、やや湿ったところに群生する多年植物。きれいに洗って軒下で数日干す、その後フライパンで乾煎り。結構かんたんに作れるな。あ〜でも収穫時期が5月から7月だから、少し早いかな」
ゴトッ
急に背後から音がして、飛び上がった。
振り向くと謎の文字が書かれた本が一冊、落ちて開かれている。
「不安定な置き方したかな」
段ボールの上に置き戻そうと手に取ると、目を疑った。
「これ、私の字?」
そこには、謎の文字の代わりに私の筆跡でドクダミについて解説されていた。
いつも、ありがとうございます。今日はもう一度更新予定です。