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カレーの誘惑

大鍋いっぱいの炊きたてご飯を見ると、カレーを作りたくなる。


いや、今回は我慢だ。六十匹分のカレーを作る材料も費用もない。こちらでカレーの材料が揃ったら作ろう。


「カレー食べたくなるね」

美砂ちゃんがエスパーみたいに呟いた。

「今は予算がなくて作れないけど、そのうち材料が畑で採れたら作りたいです」


「材料って何だっけ。人参と玉ねぎとジャガイモ…肉は(とり)が好きだな」

「豚の角煮風もカレーに合いますよ」

しまった。そんな話をしていたら食べたくなる。


「エビフライを乗せるのも良いよね」

いつの間にか横にいた鹿島くんが話に入ってきた。

「揚げ物ならカツカレーも」

八坂くんはカツカレー派か。食べたくなってくるから一旦話を切り上げよう。


『カレーってのは何だすか?』

九太郎まで話に入ってきた。

「カレーと言うのは、たくさんの野菜と肉をじっくり煮込んでスパイスで味付けをした家庭の味です」

ああもう、今夜はカレーにしよう。


今回は予算の都合で塩にぎり。それでも河童たちは美味しそうに頬張っている。

少し早いお昼ご飯を食べながら、集まってくれた河童たちに今後の畑や水田、鶏小屋について説明をした。


一つも異論は出なかった。

今いる河童たちは平均年齢六十歳だった。童河童は一歳半だった。一番ながく歳を重ねた河童は三百歳だった。

「ずいぶんと歳が離れているのね」


九太郎は少し間を置いて答えた。

『六十年前に大きな災いがあっただよ。幸人様のお助けがなけりゃ、オラたちも皆ここには居られんかった』


六十年前というと祖父は二十代半ばだった。

「祖父は一人で戦ったの?」

『うんにゃ、幸人様と先々代様が力を合わせて戦って下すった。お二人の剣技の素晴らしさというと…』

これは長くなるパターンだ。

六十年前というと、銃刀法違反ではないだろうか。

「銃刀法が施行されて間もない頃だね」

なるほど。美砂ちゃんが隣で真面目な顔で聞いていた。それにしても、何か引っかかる…


「もしかして、河童の話が分かるの?」

「え?さっきから普通に話してるよ」

どうしてだろう、八坂くんには聞こえていないのに。鹿島くんにも確認する。


「え、河童の話が分かるかって?うん、ちょっと訛ってるけど言葉はわかるよ」

おはようございます。今日も宜しくお願いします。

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