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告白

少し日が長くなってきたとはいえ、帰宅する頃にはすっかり日が落ちていた。


「ただいま」

家には誰もいないが、つい言ってしまう。

「おかえり」

一緒に鏡を越えた八坂くんが返事をした。


「今日はすっかり付き合わせてしまってごめんね。八坂くんが見たいところがあれば、次はそちらを見にいこう」

「大丈夫。役に立てたなら良かった。で、相談ってなに?」

「美砂ちゃんと鹿島くんにも話そうかと思うの」

「紅実ちゃんが決めたなら、それでいいと思う」


そう返されて少し俯く。縁側に腰掛け、ゆっくりと昔話をした。

「私、ね。小学校から中学校まで学校行けなかったんだ。大した理由でもないけど」


突然なんの話だと思われるだろう。それでも八坂くんは黙って聞いてくれた。

「他の人と違うことをして、目立つのが怖い。目立てば何を言われるか分からない。こんな話を打ち明けて気味が悪いと思われないか、こうして打ち解けてきて楽しく過ごせてるのに水を差すような話をしなくても…とか。私は空気を読むのが下手だから、楽しいと思ってるのも私だけかも知れないし」

膝の上で拳を固く握った。


「それで迷ってたの?」

黙っていると八坂くんは私の前まで来て、視線の高さを合わせた。

「その評価をつけた人はどれ程、紅実ちゃんを知っていたと言える?」


八坂くんの意図がつかめず首を傾げる。


「俺は自分の価値を決めるのは自分だと思ってる。一定期間、一緒に過ごしたからって他人が価値を決めつけるのは傲慢だ」


あれ、なんだか…

「怒ってますか?」

「怒ってはない」


「…高倉も鹿島も、見たままの人間ではない。人は多角的だからだ。その上で信頼を寄せられ、友人だと思われるなら嬉しいことだと俺は思う」

八坂くんはそう締めくくった。


言葉は難しいが励ましてくれたんだと思う。


でもおかげで勇気を貰った。次に会った時、美砂ちゃんと鹿島くんにきちんと話して聞いてもらおう。


「八坂くん、ありがとうございます」

表情が乏しいと言われた私だが、少しでも感謝が伝わってほしい。ぎこちないが精一杯、笑ってお礼を言った。


八坂くんは安心したように柔らかく笑うと、隣に座り直した。

珍しい八坂くんの笑顔を見てしまって動揺が隠せない。

頭を冷やさなきゃ!と頬をおさえた時、またもや頭上から水が降ってきた。


今回、水を被ったのは私だった。

今日も一日ありがとうございました。

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