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やせ河童

痩せた河童は見たこともない黒く艶のある三角形と黄金色に極彩色を見ると、ゴクリと喉を鳴らした。


初めて見る食物だが、とても良い匂いが漂ってくる。しかし、ふと我に返った。


『ありがてぇ申し出だが、ワシだけこんなご馳走食べるわけにはいかねえだ』


そこまで頭が回ってなかった。申し訳ない気持ちになる。


「今ここに住んでいる河童さんたちは、どのくらい居ますか?」


『紅実子様、呼び捨ててくだせぇ。ワシらは数えたことが無いんで、大雑把だすが六十ほどおると思います。ええと、六家族で童河童もいんだから…』

河童は指を数えながら必死に答える。


六十か、もう少し多く見ておくに越したことはない。そこまでの数だと、炊き出しをするにしても費用の問題がある。なかなか良い案が浮かばず、眉間にシワを寄せた。

「一つ聞かせて下さい。私たちの一族はここでどんな役割を担っていましたか?」


『代々の鏡守り様はその時々によって持つ力も異なっとりましたが、(つね)ワシらはその知恵を借りて生活してただ』


なるほど。それなら、私が手を貸すことも知恵を出すことも差し障りはなさそうだ。

後の問題は資金面だけだが…


「八坂くん、お米って一番安く買うにはどこへ行けば良いだろう」

「米農家の知り合いがいれば買いに行って交渉して、自分で精米するのが安いけど。俺たちで買うならネットが一番だと思う。車も持ってないし」


たしかに正論だ。

安くお米をを買えたとして、それを運ぶ手段が今はない。下手をすれば送料が高くなる。

「ちなみに米農家の知り合いって、いるの?」

「高倉の家は、父方の実家が米農家をしてた」


親戚に米農家が居るって素敵だな。

どこで販売しているんだろう、道の駅とかに出店していないのか。車を運転できるようになったら買いに行きたい。


色々と考えが顔に出て百面相になっていたのか、八坂くんが笑いを堪えていた。


「一度、向こうへ戻って米を注文しようか。明日には届くだろ」

「そうだね、ありがとう。どこからなら電波届くかな」


スマホを確認しながら移動する。

屋敷の中へ足を踏み入れたたころで、電波が入った。

「電波が入ったよ」

「まだ鏡を越えていないのに?」

「うん、見て」


スマホを見せる。しまった待ち受け画面が犬のままだった。昔、実家で飼っていた犬の写真は古いので画質が粗い。


「俺のも。あ、入ってる」

八坂くんも見せてくれた。待受画面はごつい魚だった。

本日三回目の更新です。

そのうち、鏡の向こう側にある屋敷の見取り図も載せる予定です。

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