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兄弟

『六太兄さん、その姿は…』


同じ河童と思えないほど、痩せた河童は九太郎の兄だった。

『オラたち、(バチ)が当たっただ。幸人様を置いて薄情にも帰っちまったから』


そう言うと河童は項垂(うなだ)れた。

一体ここで何が起こったというのか。綺麗な水をを湛えた河、美しい景色を見渡すと浮島にところどころ作られた畑を見つけた。

畑には胡瓜と思わしきものが植わっているが、どれも萎びて黄色く元気がない。

あたりを見渡すと畑という畑が、萎びた胡瓜で埋め尽くされていた。


「これは、連作障害だと思う」

胡瓜以外の作物が見当たらないので、可能性は高い。

痩せた河童は弟と同行していた私たちに気がついていなかったようで目を白黒させた。


『兄さん、この方は幸人様のお孫さんで紅実子様だで』

『鏡守り様だと。こちらへお越し下さるたぁ、一体いつぶりか…』


拝まれてしまった。

『紅実子様、連作障害と言うんは何だすか』

「ええと、連作障害と言うのは同じ植物を同じ畑で育てると起こるの。実のつきが悪くなったり、病気にかかりやすくなったりします」


隣で静かに聞いているが、八坂くんには河童の声がキィキィとしか聴こえていないはずだ。


改めて痩せ河童に向き合うとそれぞれに紹介をした。


「私は笹木 紅実子です。こちらは私の…お友だちで、八坂くんです。まだ、こちらへは数える程しか来たことがないので知らない事ばかりですが宜しくお願いします」

『へへぇ、宜しゅうにお願いしますだ』

八坂くんもキッチリとお辞儀を返した。


「そうすると、胡瓜が不作で皆さんが食べるものに困っているんですか?」

『うんにゃ、胡瓜だけじゃねえ。魚も少なくなって、増えすぎた河童と釣り合いが取れなくなっちまっただ』


魚まで減ったのか、原因は何だろう。

「胡瓜以外の野菜は食べられないんですか?」


『胡瓜がわしらの好物だったんで、畑仕事をしてた連中がこぞって育てたんだ』


少し思案してから提案した。

「他のお野菜も調理によっては美味しいですよ」

「紅実ちゃんの料理は美味しいですよ」

八坂くん、その情報はいらないから。


「そうだ、お弁当を持ってきたんです。そろそろお昼なのでご一緒にいかがですか?」


八坂くんから風呂敷を受け取ると、包を開いて広げて見せた。

本日中にもう一話更新予定です。

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