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お出かけ

五月の朝は、少し肌寒く爽やかだ。

紅実子は上半身を起こすと伸びをした。


「んーっ、よく寝た」

昨日は途中で起こされたので、起きるのが遅くなった。時計を確認すると約束の時間まで、まだ余裕がある。


着替えを済ませると髪を結いながら、台所へと向かい土鍋で炊けるだけ白米を炊いた。

冷蔵庫の中身を確認すると卵、冷凍庫にはミックスベジタブルがあったのでツナ缶を足して豪華な卵焼きを作ることにした。


味付けは塩こしょうとマヨネーズだ。

大きなフライパンに全て混ぜた卵液を流し、蓋をして弱火でじっくりと焼く。


「こんにちは」

玄関先から声がした。


急いで鍵を開けると、巨大な荷物を背負った八坂くんが立っている。

先日の夜、長い事情聴取の後に再び二人で探索をすることを約束していた。

「いらっしゃい、もう少しで支度が出来るから待ってて下さい」


蒸らしてあった土鍋ごはんを、コンロから下ろす。ご飯にしゃもじを立てて軽く切ると、そこからお焦げの良い香りがした。


「梅おにぎりが安心かな」

台所で八坂くんと二人、黙々とおにぎりを握る。

真ん中に梅干しをほぐしたものを包み、キュッキュッと握ると海苔で巻いた。


竹で編まれたカゴに、おにぎりと卵焼きを詰めると蓋をして風呂敷に包む。これで少しは蒸れずに持っていける。

「こんなに沢山?」

「みんなの分も作ったので」


そう言うと背負い籠に胡瓜を詰めた九太郎がおずおずと出てきた。


八坂くんは九太郎と私を交互に見る。

「この間、井戸にいた河童…」


やはり見られていたようだ。

「今日は九太郎くんも一緒に向こうへ行く予定です」

「名前があるのか?」

「本人から聞きました」

八坂くんは若干混乱しながらも納得したのか、ずっしりと重い風呂敷と靴を持って隠し部屋に向かってくれた。


昼間に行くのは初めてだ。


隠し部屋には鈴さんが待っていた。

『向こうへ行ったら、話がありますえ』


にゃお、としか聞こえないだろうが八坂くんを見ながらそう言うと、先に河童を連れて鏡をくぐった。


私はぎこちないながらも、八坂くんから差し出された手をにぎると、鏡の向こうへ足を踏み出した。

本日二話目更新出来ました。いつもありがとうございます。

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