モデルハウス
「このぬか漬け美味しい。パリパリ食べられるね」
今朝は焼き鮭に豆腐とわかめの味噌汁、小松菜の胡麻和えとご飯にぬか漬けだ。
鹿島くんはさっきから、ぬか漬けばかり食べている。塩分摂りすぎではないか心配になる。
「どれも美味しい」
「紅実ちゃんお料理上手だよね!お嫁さんに来てほしいな」
美砂ちゃんが冗談交じりに褒めてくれた。
美砂ちゃんは私を褒めてるのに、なぜか八坂くんが頬を染めている。
実家ではここ八年間、料理を担当していたから家庭料理だけは自己流で出来るようになった。
「今日はカタログ見るのと、新古品もらいに行こうね」
「しんこひん?」
「そう、新古品」
「モデルハウスで、展示に使っていただけのキッチンとか、トイレを見に行くの。実際は使われてないから汚れもないしお得だよ。永島先生の伝手で紹介してもらってるから、かなり安く買えるんじゃないかな」
「すごい、新古品って初めて聞いたよ」
「その分、普段から解体手伝ったりしてるのよ。何なら無料でもらっても良いぐらいなんだから」
美砂ちゃんの目がギラリと光った気がした。
モデルハウスの解体現場は、車で十五分くらいの距離だった。美砂ちゃんたちは慣れた様子でヘルメットをかぶり、現場にいた人たちに挨拶してまわった。
「いらっしゃい。今月撤去するのはマークのついた建物だけだが、気に入った物があれば声かけてから持っていってくれ」
「はーい」
美砂ちゃんが元気よく返事をした。
二箇所の台所を見た結果、電気調理は使い慣れていないのでガスコンロのタイプを選んだ。
トイレは洋式なら何でもいいと思っていたが、性能が進みすぎていて選べなかった。
なので、取り付けやすさを重視して八坂くんや鹿島くんが選んだ。
そして私が欲しかった家電も見つけることができた。洗濯機と炊飯器だ。
洗濯はいつも、坂の下のコインランドリーまで通っていた。あの手間がなくなると思えばとても嬉しい。炊飯器を買うかは、土鍋ごはんの美味しさから迷ったが毎回コンロを一つ占拠してしまうので出来たら欲しかった。
必要なものを書き出すと、鹿島くんと美砂ちゃんが値段交渉へ行ってくれた。
時計をチラリと見る、今日はお昼までに帰れそうにない。
どこかでランチを食べるべく近場のお店を探すと、お洒落なレストランを見つけられた。
「ランチも安くて美味しそう。お店の名前は…【フォックス・グローブ】」
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