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一寸先は闇

八坂くんは立ち上がると、私の出てきた回転扉の前に立った。

「ここ、扉だったんだ」


冷や汗がつたう。また迂闊なことをしてしまった。鈴さんにも念を押されていたのに。


八坂くんは私を覗き込むように問いかけた。

「ここは、なんの部屋?」


なんと答えたら良いのだろう。

緊張からか心臓が早鐘のように打つ。頭がパンクしそうだ。


「…見ていい?」


沈黙を肯定と取ったのか、八坂くんは回転扉をくぐった。急いでその後を追う。

部屋に入ると八坂くんはステンドグラスの窓を眺めて、質問を続けた。


「この部屋は紅実ちゃんのお祖父さんが、作ったの?」

「…多分、そうだと思う。最近見つけたの」

やっと声が出る。嘘は言っていない。


八坂くんに知られてしまった。きっと明日には鹿島くんと美砂ちゃんにも。

せっかく打ち解けてきたのに。隠していたことが知られる。

口下手な私には、この部屋をうまく説明できる自信がなかった。


「こっちのドアは?」

「そこには…秘密の趣味がしまってあるの」

あ、祖父のって付け加えるのを忘れた。


「…見るのは止めておく」

何か誤解を生んだかもしれない。

八坂くんの視線がなんだか彷徨っている。気まずい沈黙が訪れた。


「紅実ちゃん、左手になにか隠してる?」

その言葉にびくっと肩が震えた。

先ほどの腕輪を隠すべく、左手を死角に置いていたが不自然だった。これこそ、どう説明して良いのか。


「…何も?」

下手な嘘だった。目は泳ぐし、顔は引き攣る。


「へえ」

八坂くんは素早く私の左側へ歩を進めると、左手を掴んだ。


「うわっと」

とっさの出来事にオジサンみたいな反応をしてしまう。八坂くんは私の手を握ると腕輪をまじまじと見つめた。

近い、近いから!今時の子は距離感おかしい。


その時、突如として水のようなものが降ってきた。八坂くんの頭がずぶ濡れだ。思わず上を見上げてみたが何もない。


「今のは水?八坂くん大丈夫ですか?」

「…大丈夫です。ちょっと頭冷えました。強引なことしてすみません」

「いえ、それより水がどこから…あ、タオルを取ってきます!風邪を引いてしまう」

動揺を苦笑いで隠しながら、急いで扉に向かって踵をかえす。

はずだった。水で濡れた床は滑りやすいと、清掃中の看板でも注意喚起されてたのに。

今日は厄日だろうか。


八坂くんを道連れにして足を滑らせた。盛大に尻餅をついて、辺りを見渡す。

「うっ腰が痛い」


そこは鏡の向こうだった。

更新がちょっと遅くなってしまいました。ごめんなさい。

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