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後悔先に立たず

祖父の日記を閉じると、隣に置いてあった本が目に入る。

和ハーブ図鑑だ。


「そう言えば、しばらく読んでいなかった」

本を手に取り、思案する。

思いつくまま名前を唱えて見たが、最後の一つが当たらず進まなかった。


まだ試していなかった植物の名前に考えを巡らせる。昼間、畑で採ったネギを思いだした。

「そうだ、ネギも薬効があったはず」


そう呟くと、今までまったく反応の無かった和ハーブ図鑑が風を起こすように勢い良く捲られ、最後の一頁を開いた。


ようやく一冊が完成する。

急いでインターネットでネギを調べると、目についた記事を片っ端から読み上げる。最後の頁も全て書き換わった。


長かった、ヒエログリフの様な文字が読めなかったので全て当てずっぽうだった。

感慨に浸っていると、手の上にあった本が勝手にバタッと閉じた。

和ハーブ図鑑の上には、いつの間に置いたのか銀の腕輪がある。本の傾きで、腕輪がスルっと落ちかけた。


「あ、落ちるっ」

とっさに左手で受け止めようとした。手のひらに腕輪の感触はない。辺りを探すと、いつの間にか左手首にピッタリと納まっている。


よく見れば銀の腕輪には、例のヒエログリフもどきが彫り込んであった。

「なんて書いてあるのか、読めたら良いのに」

読めない文字をじっと見つめるが、何も起こらない。ため息をついて解読を諦めた。そろそろ二階へ戻らねば、寝る時間がなくなってしまう。

腕輪を外そうとしたが、それは見事に手首へフィットしている。

一周回して継ぎ目を探すが、どこにもない。

なんだこれは。


慌てて引っ張ってみても、手首が痛いだけだった。

「どうしよう、取れない!」


普段からお洒落と程遠い私だ。銀色の腕輪なんて目立って仕方がない。焦っても外せないものは仕方がない。

時刻はすでに一時を回っており、今日はこれ以上どうにもならない気がした。


「仕方ない、鈴さんなら何か知っているかな。明日どこかで会えたら聞こう」

腕輪を取ることは諦めて、一日くらいは上着を着てごまかそう。

自分を落ち着かせるため、大きく深呼吸をして部屋を後にした。


しかし、やはり動揺していたのだ。

部屋を出る前にもっと慎重になるべきだった。


回転扉を開けるといつから居たのか、正面に八坂くんが座り込んでいた。

本日三回目の更新出来ました。評価とブクマで応援してくださって、ありがとうございます。

ストーリーのろのろとしていますが、お気長にお付き合い宜しくお願いします。

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