走る緑色
緑色の動物…何かが頭の片隅に引っかかった。
「紅実ちゃんムカデ苦手だったかな、大丈夫?」
竹藪を呆然と見ていると、美砂ちゃんが心配そうに覗き込んだ。
「…大丈夫です。得意ではありませんが、慣れています」
後で鈴さんに聞いてみよう。緑色の動物は幼児くらいの大きさだった、見間違いでなければあれは…。
午前中は五右衛門風呂の水漏れチェックと土台の確認。幸い風呂釜は水漏れしていなかったのでそのまま使えた。
「お風呂場も屋根が少し傷んでるね。修理は男子二人に任せよっか。紅実ちゃん、お風呂場に貼るタイルを選んでもらえる?」
美砂ちゃんはノートパソコンを開くと、浴室に使えるタイルをズラリと見せてくれた。
「個人的にはこのタイルがお勧め!滑りにくいし、色のバリエーションも多いよ」
指し示されたタイルをまじまじと見つめる。マットな質感と色も落ち着いたものが多い。
「この色がいいな」
その内の一つをクルッと指で囲った。
「いいね、素敵なお風呂場になりそう」
値段も予算内だったので、即購入する。その他にも珪藻土やモルタルや飾り用の硝子タイル、無垢板を購入した。
「次は四人で作業進めるから、五月の連休中にはお風呂を使えるよ」
美砂ちゃんがノートパソコンに打ち込みながら、細かな作業工程を教えてくれた。
今月中に五右衛門風呂に入れるのか、楽しみだ。
時計を見ると、正午を指している。
「そろそろ、お昼ご飯にしませんか」
いなり寿司は今朝八坂くんが手伝ってくれたので既に出来ていた。
なめこと豆腐の味噌汁は味噌を解くだけだ。
ちゃぶ台にいなり寿司と味噌汁、昨日大叔母が持って来てくれたぬか漬けを並べる。
お茶はやかんで麦茶を作ったのを、裏の井戸水で冷やしておいた。
他人にご飯を振る舞うことなど、滅多にないので緊張する。
屋根の修理から男の子二人も戻ってきた。
「わ〜美味しそう。いなり寿司ってちょっとしたご馳走だよね!寿司って付くからかな?」
鹿島くんが嬉しそうに席に着いた。
「苦手なものがなければ良いですが。あっアレルギーがあれば教えて下さいね」
うっかりしていた。アレルギー食材を知らずに使っていたら危ない。
「大丈夫、私はアレルギーなかったよ!」
「僕も大丈夫です」
「ないです」
ああ、三人のノリにも慣れてきた。
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