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一難去ってまた一難

永島先生が建築申請許可書と一緒に持ってきてくれたのは、増築プランだった。


「台所横から通路を繋げてお風呂場を増築するプランです。これが一番早いし費用も抑えられると思うよ」


これには基礎工事や水回りの工事が含まれているので、これまでで一番費用のかかるものだった。


「もう少しバイトを増やさないと払えるか不安だなぁ」

「そうね、これだと予算オーバーになるわね」

横から母が設計プランを覗き込む。


「しかし、随分キレイになったなぁ」

家の中を一通り見廻ってきた父が感想を漏らした。


「学生さんたちが一生懸命頑張ってくれたんだ」

自慢気に父に答える。


「うちより綺麗になってきたわね。今度泊まりに来ようかしら」

母も台所を見ながら言った。


「母さん、若い人はそっとしてこうと…」

「冗談よ。あなたが付き合ってくれるなら、温泉にでも旅行に行くわ」


両親は相変わらず仲良さそうだが、父は忙しそうだった。両親揃うことも珍しいので、この機会に下宿を始めることを相談する。


「え、女の子だけじゃないのか…」

父が絶望的な顔をするが母がちゃぶ台の下で何かをしたようで、それ以上台詞は続かなかった。


「良いんじゃない。でもこんな辺鄙なところで、入居者が来るの?」


永島先生は初耳だったらしく、興奮しながら話に割って入ってきた。


「入居者が少なければ、僕も…」


「先生は学生って歳じゃないでしょう。老人ホームじゃないんですよ?」

美砂ちゃんはニッコリ優しく諭すように言う。

先生にそんな口を利いて大丈夫なのか。


「そうだよね…でも遊びに来てもいいですか?」

「頻繁じゃなければ」

鹿島くんがクールに答えた。


学生は皆そんな調子なのか。


「この家は大正に建てられた家として建築的価値もありますし、場所も大学から遠くはないので大学で宣伝すれば入居者はすぐに集まると思いますよ」

鹿島くんが持ち前のフレンドリーな笑顔で母に薦める。


「まあ、それならね。この家も紅実子が管理してますから、収入にもなるなら安心ですし」

母は満更でもない様子だ。


「このお家が下宿屋さんを始めたら、私も是非入居したいと思っているんですよ!」

美砂ちゃんが元気よく後押しをすると、父が反応する。


「女の子が入るなら…」

その台詞は続かない。またもや、ちゃぶ台の下で何かがあったようだった。



嵐のような訪問ラッシュが終わり、家にはいつもの四人が残された。


「てかさ、さっきの八坂は珍しく反応したよな。昨日はマジで何かあった?」

鹿島くんが水を得た魚のようにはしゃいでいる。


「別に何も…あ、そうだ」


何か嫌な予感がした。

「紅実ちゃんが風呂上がりに強襲したくらい」

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

タイトルを考えるのが意外と難しいです。

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