両親
昼に降り出した雨は夜半まで続き、朝になる頃には青空が広がっていた。
今日は予定が目白押しだ。まず週に一度の検卵の日で、朝から待ちきれない桂兎がそわそわと孵卵器の周りを歩いている。
夜明け前から河童たちが裏の竹林で筍を掘っているし、十時すぎには永島先生が建築確認申請をするための書類を持って訪ねて来てくれるとの事だった。
「そろそろ先生たち来るか」
昨夜は町の開発について話が終わらずに泊まった八坂くんが、朝食の後片付けをしながら時計を見た。
「私、裏の竹林見てきますね」
万が一永島先生に河童たちが見つかったら面倒くさい。
表に車が停まる気配がして、誰かが玄関を開けた。永島先生たちが到着したのかと思って裏口から家に戻り、玄関へ急ぐ。
先に八坂くんが玄関へ向かったようで、台所に人の気配はなかった。
玄関に近づくと女性の声がする、何か様子が変だ。
静まり返った玄関では八坂くんと両親が固まっていた。
「あれ、お母さん?どうしたの」
母は低い声で答える。
「どうしたもないでしょう。最近なんの連絡もしてこないから、たまにはコチラから見に来たのよ。彼氏が出来たんなら紹介くらいしなさい」
ここでも誤解を生んでいたので、訂正をする。
「彼氏じゃないよ。建築学科の学生さんで、週末は集まってリフォームを教えてくれてるの。今日はもうすぐ永島先生もいらっしゃるし」
誤解を訂正すると、父があからさまに安堵の表情を浮かべる。
「すみません、ご挨拶が遅れました。建築学科四年の八坂 颯馬です。永島先生と一緒に改築を勉強させてもらっています」
八坂くんも事態が飲み込めたのか、私の両親に挨拶をする。
「笹木 湧です」
「紅実子がいつもお世話になっております。紅実子の母、伊音です」
そこへ車の音が聞こえてワイワイと声が聞こえてきた、永島先生たちが到着したようだ。
「こんにちは、あれ八坂くん早かったね」
永島先生が外玄関から入ってくる。それに鹿島くんと美砂ちゃんも続いた。
「八坂、もう着いてたんだ?え、もしかして泊まり込んでたとか?」
「ふざけてないで挨拶しろよ。紅実ちゃんのご両親がいらしてる」
いつもなら軽口をスルーしている八坂くんが珍しく返事を返した。
「え、もうご両親に挨拶する仲なの?」
久しぶりに会った美砂ちゃんが天然爆弾を投下したので、またもや誤解を解くのにひと悶着した。
おはようございます。いつもブクマと評価をありがとうございます。




