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雨の日

午後から降り出した雨は、植え付けられたばかりの植物にとっては恵雨となった。


「大学の図書館で関連書を借りてきた。土門さんと相談しようと思って」

「それで来たんですね、電話してみます」

「昨日の話も、まだ終わってないけど」


最後の台詞は聞こえなかったことにした。


先日、思念で電話が出てきた事を思い出して念じてみる。


リーン、リリーン。

いつの間にこんな機能が増えていたのか、私の知らない機能がまだまだありそうだ。


『お電話ありがとうございます。いつでもどこでもモグラ商会です。おや、紅実子様』


「こんにちは、お仕事の進み具合はどうなっていますか?」

『はい、お陰様で筋肉痛も治ってきたので今朝から手の空いてるものは皆、八俣の町へ出かけております』


それは土小人の殆どでは。

「先日の町への道といい、対価が釣り合っていない気がしますが」

『町の発展は儂らの悲願でもありますから、本来であれば対価を頂くのも気が引けますから』


土門は最低限の食事があれば動けますので、と付け加えた。


「そうだ、湿原の工事について河童たちに手伝いをお願い出来そうです。設計と施工については八坂くんが土門さんと相談したいそうですが」

『それは吉報です。どれ、八坂の旦那にお電話代わっていただけますかな?』

「少々お待ちください」


受話器を八坂くんに渡すと二人は専門的に混み合った話を始めたので、そっと台所へ立った。


台所から見える竹林には、筍たちがにょきにょきと顔を出している。この雨が止めば、かなりの数がまた顔を出すだろう。

週末には手作り市を控えているので丁度いい。


献立を考えながら冷蔵庫を開けると、昨日買って塩を振っておいた魚を見つけた。


「甘鯛の塩焼きとなめ茸の味噌汁でいいかな」

寅次の魚屋で魚が安く手に入るようになってから、食卓に魚が出る頻度が増えた。


あまり続けると不満が出そうなので、たまには豚や鶏も使わなければいけないが。


八坂くんと土門の白熱した会話も収束した頃、土鍋はブクブクと吹きこぼれていた。

魚の焼ける匂いに赤槌も縁側から登ってきた。


「お昼ご飯にしましょうか」

味噌汁を木のお椀についで、沢庵を切ると魚と一緒にシルフの市で交換した皿に盛り付けた。


雨の日は少し冷えるので、お昼ご飯には温かいものを多くする。


こんな雨の日は河童たちも家で過ごしているのだろうか。向こうの世界に思いを馳せると、頭を振り我にかえる。


あまり考えすぎると、移動するやも知れないからだ。

今日も一日お読みいただき、ありがとうございました。

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