裏方希望で
改めて自己紹介をしてもらった。
鹿島 樹くん
高倉 美砂ちゃん
八坂 颯馬くん
皆、大学四年生だった。
二つ学年が違うだけでこんなにも変わるのか。
それとも彼らが、凄すぎるのか。
そんな事を考えながら、三人の若者のうち紅一点の美砂ちゃんとトイレの前で相談していた。
トイレのリフォームについて相談しているので場所は仕方ない。毎回フルネームで呼ぶと疲れるので名前で呼ぶ許可を頂いた。
というより、名字で呼んだら名前で呼ぶように訂正された。
明るめの髪を一つにまとめて、メイクも濃すぎず服装もオシャレ。
「ミサって呼んでくださいね!」
ウィンクする人、テレビ以外で初めて見た。美人さんは突飛なことをしても違和感がないね。
同性なのにときめいてしまった。
さらに頭も良い。私のあやふやな希望を聞きながら、予算をいかに削るか考えてデザインをさらさらと描いてくれる。
男の子二人はさっきから、母や大叔母に連れられて屋根の修繕箇所だの戸の立て付けだの引っ張り回されていた。
鹿島くんは最初のイメージはお洒落な今どきの男の子。話してみると、とてもしっかりしてたので見かけで判断するのは良くない。
八坂くんは無口で、あまり会話を振ってくるタイプではないらしい。
永島先生は五十六歳、独身だった。
昔はこの近くに住んでいて、よく家に遊びに来ていたんだとか。
「子どもの頃からこの家は憧れで…いつかはこの家の子になりたいと思ってたんですよ。由紀子さんには歳の差から婿入りはお断りされましたが」
笑いながら冗談ぽく言っていたが、目が本気だった。
「時間はありますから、生活に直結する部分から直していきましょう」
「はい、ご指導のほど宜しくお願いします」
学生たちは授業で習ったことを実践することで、先生から単位がもらえるので完全なボランティアではないらしい。
でも、私が出来ることは手伝って覚えておかないと、いずれ修理が必要になった時に困る。
「由紀子さんと笹木家の皆さんからヒアリングした、修繕箇所と改築希望をまとめました」
永島先生が学生たちの纏めた簡易設計図を捲りながら、屋内を歩いて回る。
「優先順位は水回りですね。同時進行で雨漏りのしそうな箇所だけ直しましょう。紅実子さんには学生たちの作業監督と食事係をお願いします」
「作業監督なんて素人の娘に出来ますか?要領も悪いですよ」
口を出したの母だ。
「大丈夫ですよ。学生たちとコミュニケーションをとり、サボらないように見張ってて貰うだけですから」
永島先生がにこやかに答えた。
いや、食事係とか見張りは良いですがコミュニケーションは自信がないです。
本日二回目の更新です。




