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第1章 1話:はじめましての異世界へ、どうぞよろしくお願いします。

気が付くとそこは草原だった。遠くのほうには森も見える。本当にここは異世界か?

異世界系の物語はたまに読むが実際飛ばされてみると実感が湧かない。

そして、実際に飛ばされてみてすぐさま思いついた疑問があった。


「ここどこだよ…」


死後の世界では説明してくれる神がいたが、今この場には誰もいない。異世界に転生したとはいえいきなり見ず知らずの土地にほっぽり出されて、

第2の人生を謳歌してください、なんて言われても困る。こんなことなら転生場所を教えてもらうんだった。


そこでようやく自分が悪魔に転生したことを思い出し、自分の体を調べてみることにした。

服装はローブを羽織っているだけで、それ以外は何も着ていない。驚くほどの解放感だ。

肌を見てみても特に色が変わってる様子はなく人間そのものだ。


「見た目はそのままで転生って言ってたけど種族変えてもこのままなのか…?」


少しがっかりしたところで自分の頭部に違和感を感じる。

触ってみたところ角が生えていたのだ。しかも、とぐろを巻いた立派な角だ。

どうやらこいつが悪魔の証らしい。少し転生の実感が湧いた。


「自分の転生を確認したところで少し歩いてみますか」


歩き出した俺は自分のステータスのことが気になった。自分のステータスなんてどうやって見るんだと考えていたところ、

ふと頭にイメージが出てきた。ふむ、これが自身のステータスと取得スキルか…

魔法は使えなくていいとは言ったが体力、攻撃力、物理防御、魔法防御にガンぶりの脳筋かよ!!

残りのステータスは魔力や詠唱力、器用さなど様々なものがあったが一切振られておらず、おまけのように俊敏性が振られているだけだった。


「まあ、おすすめで取ってもらったからあんまり文句は言えないよなぁ…」


ステータスを確認したところで取得スキルを確認することにする。

…と思ったが不意に自分の周りに複数の気配が存在することを察知した。


「誰だっ!」


一言放つと物陰からぞろぞろと緑色の小人のような生き物が出てきた。皆それぞれ武器を所持している。


「へっへっへ…悪く思うなよ旅のお方」


というようなことを言っている。

こう表現したのには訳があり、『言語処理』というスキルが発動しているイメージが伝わるからだ。

しかもポイントをマックスまで振っているため、あらゆる生物の言語を理解し、会話可能と書かれている。


こいつらの見た目からしてファンタジーによく取り上げられるゴブリンだろうか。

せっかく会話ができるんだし穏便に済ませたいところだ。


「待ってくれ!俺は道に迷っていてしかも何も持っていないんだ!」


語り掛けると奴らの雰囲気が少し変わった。


「お前、俺たちの言葉がわかるのか?」


俺が奴らと同じ言葉を使えることに驚いているらしい。


「お前たちの言葉は理解できる、そしてさっきも言ったように何も持ってないんだ。もし襲う気なら今回は見逃してくれないか?」


「おいおい、なんで獣人が俺たちゴブリンの言葉をペラペラと話してんだ?」


「知らねえよ兄貴、てかこいつ何にも持ってないって言ってたけどこんな町から離れた場所で丸腰ってあり得るか?」


と自らのことをゴブリンと言ったやつらは仲間同士で話し合っているようだ。


「おい、お前、どこから来たんだ?」


「それが…わからないんだよ…」


「どこから来たかわからない?記憶喪失か?この獣人」


「待ってくれ、俺は獣人じゃなく悪魔だ」


「悪魔ぁ!?俺は何回か悪魔を見たことがあるがお前のような人間そっくりな悪魔なんて見たことがねぇぞ!!」


まずい、かなり不審がられている。どうにかして自分が怪しいものじゃないことを伝えなければ。

…こうなれば仕方ない、穏便に済ますためにここは一肌脱ごうじゃないか。


ガバッ!!


俺は身にまとう唯一の服を脱ぎ、全身をさらけ出した。


「悪魔かどうかなんて確かめられなくていい!本当に俺は何も持っていないんだ!」


少しの沈黙のあいだ、ゴブリンたちは目を丸くしてる。

そして一人が「プッ」と笑い出した。その笑いはほかの奴らにも伝染していき、最終的に俺はゴブリンたちに笑われていた。


「あっはっは!お前、面白いやつだな!いきなり裸になるなんて!」


少し恥ずかしいが、警戒心は薄れたようだ。


「お前が何も持ってないってのはわかったし、何より…その背中から生えてる翼が悪魔の証拠だもんな」


「えっ」


「角が生えていて翼をもった獣人なんて存在しねぇよ」


ゴブリンに言われてはじめて気づいた。自分の背中から翼が生えていることに。


「まあ本当に悪魔かどうかは置いておくとして…お前、道に迷っているんだっけ?」


「あ、ああそうだ」


「お前、悪い奴じゃなさそうだしとりあえず俺たちの村に来るか?」


この世界について何もわかっていないし、今夜泊まる場所もないのでゴブリンたちの提案はとても嬉しかった。

このゴブリンたちは最初こそ襲ってきたものの、話せば悪くないやつらだと思うし、ここは提案に乗ることにした。


「そうだな、よろしく頼む」


「じゃあ一旦村に帰るか」


こうしてゴブリン一行+悪魔一匹は遠くの森に向かって歩き出した。

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