~自分、他人の名前を覚えないので~
21番君との運命(笑)に気づいた翌日、いつも通り登校に約一時間かかる道のりを自転車で来たらやはりいつも通り教室には誰もいない。
「ふぅ、疲れた。帰りたい。」
今日の教科は…そうだ、工業実習だ。工業実習とは、その名の通り実習で、ちょっと前に机の上で習った事を実験して改めて学を深めるようなものだ。普通科で言うと椅子作りだとかラジオ作りとかだと思う。普通科高校に行った事無いから知らないけど。
まあ、やることだけなら楽なのだが、授業後に宿題としてレポートを提出する必要があるのだ。これがダルい。
「はぁー、ダルい。本当にダルい。」
…本読むか。
しばらく本を読んでいると一人また一人とやって来た。そして、いつの間にうるさい教室に戻った。十連ガチャ引いて爆死して発狂する奴がいて、何人かでまとまってFPSやってる奴もいて。僕のようにボッチで本読んでる奴もいる。これが工業高校なんだなー。昔の印象とは違って以外に平和だと思った僕であった。
…のだが。
特にたいした事のなかった実習から数日後。
「えー、駐輪場の自転車にいたずらがされたらしいから、気をつけてねー。」
朝のホームルームで担任の太田先生がそんなことを連絡した。大丈夫かよ、平和とか考えてる暇なんてねえよ。
しかし、大半の生徒は…
「おい、今日の授業って…」
「うっわ!死ね!お前なんで星5キャラ…」
「うるせーよ!こっちは勉強してんだよ!はぁ?ひゃっひゃひゃ!おもっろ!…」
この様だ。聞いてねえ。
あと、最後の奴。お前だ、お前がいちばんうるせぇよ。てめえ勉強の『べ』の字もやってねえだろ。笑い方のクセがすごい!
「おーい、世界史の準備してよー。」
どうやらもう一時間目が始まるようだ。
世界史は担当の教師がほぼ黒板の前にいるため、少し首を横に向けるとスマホを弄ってる奴がちらほら見える。全くもって関係が無いのだがすごいムカつく。関係がホントに無いんですけどね。
まあ、そんなこんなで昼放課になり、午後の授業が始まった。午後一の授業は家庭科で、クロスステッチ?というのか?まあ、縫い物をした。大抵の人間は静かにやっているのだが、コミュLv3 、4くらいのゴ…奴らはぺちゃぺちゃ喋っている。喋りながら裁縫出来るとかすげえな。さすが高レベルコミュニケーショナーだ。
ん?急に静かになったんだが…
少し回りを見てみると家庭科の担当教師に隣の席のどっかの誰かさんがスマホをボッシュートされたようだ。少し画面が見えたのだが、ゲームをしていたようだ。授業中にゲームをするという度胸はすごいと思う。しかし、そのゲームは授業中にする程のものでは無かった。
授業後
「クラスの人の名前クーイズ!」
「はい?」
いきなり始まったのだが、『21番君』の発案だ。部活の事はやらなくて良いのかって?いいんだよ。たまには。…いつもだけど。
「1番は誰?」
一番か…『あ』から始まるよな。あ、あ、あ?
「熱〇?」
「『〇盛』なわけないでしょう!なに胸熱な反応しているんです!?」
「いや、それしか思い浮かばなかったんで。」
「えぇ…朝井だよ。あ・さ・い」
「そうですか。」
「じゃあ4番は?」
いきなり4番ですか…
「最初の文字は?」
「『い』ですね。」
い、い、い、い?
「板垣?」
「稲垣ですよ!い・な・が・き!なんで昔の政治家が出てくるんですか!似ても似つかないビジュアルですよっ!」
あ、思い出した。『稲垣』ってかなりぽっちゃりしていて、背が若干低めで肌が汚いあれか!
ん?この特徴は…ゴブリンだぁぁぁぁぁぁ!
リアルゴブリンがきたぁぁぁぁぁ!
おいおい、今はやりの異世界転移系か?




