1.手紙。
シロ様へ。
お元気でしょうか。昨日のお手紙も、この書き出しだったような気がします。すみません。手紙に慣れていなくて……。
今日は、楽しかった出来事を書いておきますね。
いつもの小夜子ちゃん、京、燈火ちゃん、将崇君でショッピングモールに買い物へ行きました。覚えていますか。クリームたっぷりでサクサクのシュークリームを買って帰った日です。
人がたくさんいる休日でした。ランチをして、映画を見ようと移動しているとき、ちょっとした事件があったんです。事件と言っても、警察沙汰に巻き込まれたとかじゃないですからね。
ショッピングカートって、あるじゃないですか。買い物用のカゴがついたカートで、押して歩けるようになっているんです。
そのカートで遊んでいる男の子がいました。たぶん、小学生くらいじゃないかと思います。親御さんの姿はありませんでした。
男の子は足をカートにかけて、キックボードみたいにスイスイ走っていました。楽しそうではあるんですが、他の人もたくさん歩いているので危ないですよね。
京が「ちょっと注意してこうわい」と、歩いていきました。普段はダラしなくしていますが、やるときはやるんです。
だけど、その前に男の子のカートが急にスピードをあげちゃって。幼稚園くらいの女の子に向かっていきました。みんなビックリしたけれど、間に合いそうにありません。
でも、カートは女の子にぶつかりませんでした。ギリギリのところで、将崇君が大きな風船に化けて、間に入ってくれたんです。間一髪でした。
そのあと、男の子は親御さんに怒られて連れていかれました。女の子が、突然現れた巨大風船を気に入ってしまったのは誤算でしたが、怪我人がなくてよかったです。将崇君がいなかったらと思うとヒヤヒヤします。
取り留めのない内容で、すみません。
なんだか、日記みたいですね。
今日のお手紙は、ここまでにします。
明日も、楽しみにしていてください。
九十九より。




