【第7章】鳥籠〈とりかご〉
修学旅行でアメリカに行っていた輪たち。輪たち五人の人間関係が変化していく中世界は思わぬ方向へと動いていた。
狂うクルウくるう狂っていく。俺は、いや、この世界がクルッテいく。なぜなのだろうか?解らない、分からないわからないワカラナイ…おれおれおれおれおろえ…僕は今、幸せ…何も間違ってはいない。
この世界は楽園…エデン。禁断の果実に手を染めなければ大丈夫。俺は手を染めない。染めたら俺は鳥かごの中に閉じ込められる。幸せじゃなくなる。
「そうだよ、輪。禁断の果実に触れては駄目なんだよ。」
「声」が語り掛けてくる。そして、歌うように続ける。
「創世記に記されてるエデンの園。アダムとイブは【蛇】に誑かされて禁断の果実に手を染めた。そのせいで楽園から追放されて人は罪を背負い続けなければならなくなった。果実にさえ手を出さなかったら永遠の幸せを得られたのに。アダムとイブは【蛇】に誑かされた。そのせいで楽園を追われた。けど、この世界に【蛇】はいない。だからここは永遠の楽園。」
そう、ここは永遠の世界…だが、俺はこの夢のことはほとんど覚えていないだろう…
「お~~~い、輪!なにぼ~っとしてんだ」
裕司が俺に言ってくる。
「あ、わりぃ」
「もう、駄目だよ…ぼーっとしちゃ」
「ワリワリ。って真由里…言葉使い変わってないか?」
「うん、いつまでも敬語じゃ他人行儀な気がして…」
「そうか、けどなんか違和感あんな」
俺と真由里が会話をしていると海廻が「速くいこ!」と急かしてきた。
「ああ、行こう!」
俺がそう言うと皆は歩き出していった。
俺たちが向かったのは遊園地だった。外国の遊園地は日本の遊園地と規模が違った。
「でっけ~~~。正直びっくりだわ」
裕司が驚きの声をあげた。
「さて、行きましょう!」
真由里が楽し気に言ってきた。そして、そのまま俺たちは遊園地に入って行った。
まず初めに行ったのは観覧車だった。どうやらこの観覧車はクルーがいないようだ。
「クルーがいないなんて妙ね」
優里奈が声を発した。確かにおかしいとは思うがそこまで気にすることでも無いと俺は思った。
「何がおかしいいの?クルーがいなくても動いてるじゃん。見たところ問題も起きてないよ。確かに日本の遊園地はクルーの人がいるけどここはいないもんじゃないの?」
海廻が尋ねると裕司と優里奈が唖然としながら海廻の方を見ていた。そして、裕司が海廻にこう言ってきた。
「クルーがいないのはどう考えてもおかしいだろ?何言ってんだよお前は」
優里奈も同じことを言いたげだ。だが、海廻はー
「皆が楽しければそれでいいじゃん」
海廻がそう答えると真由里も「確かにそうだね」といい海廻の言っていることに納得したようだった。
「確かに…そうかもしんねーけど…」
裕司が釈然とし無さそうに言っていた。優里奈は無言だった。
「速く行こ行こ!」
海廻が言うと皆は観覧車に乗り出したのだった。
観覧車から眺める景色はとても見晴らしがよく俺たちはとても楽しんでいた。
「うあー!すごくいい眺めだよ!ねぇ、真由里!」
「そうだね…とても綺麗だ。輪もそう思うよね?」
「ああ。そうだな。」
「確かに綺麗だな~。だがしかし!本番はこれからだ!どんどん遊ぶぞ!」
「…うん」
俺たちが会話をしている内に観覧車は一周していたので俺たちは観覧車をおりそのまま全員降りた。
俺が降りた足元に花が落ちていた。落ちていた花はクロユリだった。この花は確か呪いの花として有名だな。でも、なんでこんな花がこんなとこに落ちてるんだ?
「どうしたの?輪?」
海廻が俺に尋ねてくる。
「いや、何でこんなとこにクロユリの花が落ちてんのかなって思って」
「ああ、それならあっちに花屋さんがあったからそこの花なんじゃないかな?でも、何でそんな事を気にしてるの?」
海廻が聞いてくる。俺は素直に答えた。
「だってクロユリって確か呪いって意味があるだろ?縁起悪いだろ?」
「クロユリってそんな花言葉があるんだ!知らなかった~。確かにそれは縁起悪いね」
俺と海廻がそんな話をしていると真由里が話に入ってきた。
「確かにクロユリは呪いという意味もあるけど他にも恋っていう意味もあるよ。だから、それほど縁起が悪い花でもないと思うよ。それにしても輪は花言葉詳しいね」
「まぁ、家が葬儀屋だから花を供えたりすることもあるから花言葉に興味あるんだよ」
俺が真由里にそういうと裕司がチャチャを入れてきた。
「男の癖に花言葉に詳しいとか気持ち悪りーな」
「うるせーよ」
そして、そのまま次のアトラクションに乗ることにした。
それから色々な乗り物に乗った。ジェットコースター、メリーゴーランドなどの乗り物はもちろん、他にもたくさんの乗り物に乗った。いずれもクルーの人はいなかった。
「どうやらこの遊園地には誰も働いてる人がいないみたいだな」
裕司がそう言ってきた。
「従業員はどうしてるのかしら?」
優里奈が疑問を浮かべていた。
すると、従業員らしき人が見えた。見えるなり裕司と優里奈が驚いた様子でそちらを見ていた。そして、裕司がこう呟いた。
「なんで従業員が普通にアトラクションに乗って遊んでんだよ」
流石にこれはおかしいと皆思ったようだ。
「どうなってるの?」
海廻が疑問を抱いている様子だ。無理もない、明らかに異常な事態だ。
「何だこれは?本来客の安全や遊園地の運営をしないといけない奴らが遊んでるっておかしいだろ!」
裕司が怒鳴りつけるように言った。その後裕司は一人で歩き出した。
「おい、どこに行くんだよ裕司?」
俺が尋ねると「どこでもいいだろ?」と言ってどこかに行ってしまった。そして、いつの間にか真由里の姿も消えてしまっていた。
「輪!真由里までいなくなっちゃったよ!」
「何がどうなってんだよ…」
すると、ガギィン!という鈍い音が聞こえた。
「今度はなんだ!?」
俺が溜まらず叫ぶと海廻が「あれ見て!」という声が聞こえたのでその方向を見るとジェットコースターが不調を起こしたようで子供が一人ジェットコースターから落ちてしまったようだ。だが、幸い落ちた高さがあまり高くなかったので無事だった。
「あの子ケガしてるわ」
優里奈が言う。確かに腕にけがをしている。
【いてて、落ちちゃった。でも、まだまだ遊び足りないしもっと遊ぼう!】
子供がそう言う。英語で話していた。アメリカ人だから当たり前か。でも、無事でよかった。
【ちょっと待って、君のそのケガ…かなりひどいわ。一度病院に行った方が…】
【大丈夫、大丈夫!このくらい平気だよ。ママ!速く行こう!】
【はいはい、じゃああの乗り物に乗りましょうね】
ジェットコースターから降りてきた子供の母親がそう言った。だが、しかし優里奈は母親に向かってこう言ってきた。
【子供さんのケガがひどいですよ。急いで病院に…】
【この子が大丈夫なら大丈夫です。さぁ、行きましょう】
【うん!】
【あっ、ちょっと!】
子供と母親はそのまま次の乗り物に乗って行った。
「何よこれ…一体何が…」
優里奈がかなり動揺した顔をしていた。
「おい、優里奈?」
俺が優里奈に声を掛けると優里奈は「ごめん、忘れ物した」と言いどこかに行った。
「何が起こってんだ?」
俺と海廻は立ち尽くしていた。
裕司は一人でアメリカのあらゆる場所に回っていた。どこもかしこも働いている人はおらず、皆遊んでいたり道端で寝転んだりしていた。貧困の町ではそういうこともあると聞いたことがあるがここはアメリカニューヨークの都会だ。そんなことはまず無いはずだ。
「どうなってんだ?これは?」
裕司が絶句した。そして、裕司の後ろにある人物がいた、真由里だ。
「真由里、これは一体…」
「嘘…なにこれ…私は知らない!こんなの…」
真由里が非常に狼狽していた。裕司はもう訳が分からなくなっていた。
「でも、私たちが平穏ならそれで…うん、大丈夫…」
「「私たちが」?どういうことだ?」
「教えないって言ったはずだよ。それともここであなたの記憶を…」
「分かった分かった。もう聞かねーよ」
裕司は自分で調べるしかないと思いどこかに行こうとするが、真由里がそれを阻む。真由里はさっきまで後ろにいたはずなのに俺の前に回り込んでいた。
「どうしても通してくれないのか?」
「ええ、あなたをここから先に進ませない。進ませるわけにはいかないよ」
しかし、裕司は止まらなかった。そのまま進む。
「行かせないって言ったよね」
真由里がそういうと裕司に至近距離で近づき、右手で裕司を殴りつける。すると、裕司がそれを左手で受け止め真由里を振り払う。しかし、真由里は振り払おうとした裕司の振動を利用して空中を舞い、彼の左頬を蹴り飛ばした。
「痛って~~!!本気で蹴り飛ばしやがって!」
裕司が悶絶するが、真由里は手を緩めない。すぐに裕司のもとに走って行き今度はボディーブローを喰らわしてきた。だが、裕司はそれを防ぎ「悪く思うなよ」と言い真由里をそのままブン投げた。
壁に思いっきり背中をぶつけた真由里は一瞬咳き込んだが、すぐに態勢を整え裕司に肉薄していく。
そして、真由里は左フックで攻撃をし、裕司がそれを防ごうとした瞬間、左手を引っ込め右手で裕司を殴りつけた。
「フェイントかよ!てか、ありゃあかなり本気だな…」
「ここは通さない。絶対に!」
「くそっ!」
真由里はそのまま畳みかけようと倒れていた裕司にのしかかり、顔面を殴ろうとしたが、裕司が右フックで真由里の頬を思いっきり殴った。すると、重さが一瞬無くなり、裕司は真由里を振りほどこうとするも真由里は裕司の胸倉を掴む。すると、態勢が崩れ、二人は転がって行った。
「いい加減に降参して!」
真由里が言ってくるが裕司は引かなかった。
「そうは行くか!」
二人は再び立ち上がり真由里と裕司の殴り合いは続いた。
「おおおお!」
裕司は真由里の頬を思いっきり殴りつけた。が、真由里は裕司の腹に思いっきり殴りつけた。
「がはっ!」
裕司は悶絶したが、その後真由里の腹を思いっきり蹴飛ばした。
「かっ!」
真由里が悶絶するが次の瞬間裕司の顔面を右手で思い切り殴りつけた。
二人はお互いにボロボロだった。お互い身体中は傷だらけで息絶え絶えの状態だった。
「いい加減にしろよ、真由里!!!」
「あなたが私の言うこと聞かないからでしょ!?」
再び殴り合ったが、ここで決着が着くことになる。真由里が再びボディーブローを叩き込もうとしたが裕司は防ごうとしたが瞬間に手を引っ込めてフェイントをかけ、裕司の頬を殴りつけようとしたが裕司はそれを読み真由里の手を受け止めそのまま真由里を地面に叩き付けた。
「はぁ、はぁ、はぁ。ったく女の癖になんて強さなんだよ。喧嘩慣れしすぎだろこいつ。」
息を切らしながら裕司は言う。裕司もかなり喧嘩慣れしているのだが、真由里の強さは予想以上だった。
裕司が真由里を運ぼうとしたその時、真由里はすぐさま起き上がり自分の両手を力いっぱい合わせて「パン!!」という音を立てた。その瞬間裕司が完全に怯み、態勢を崩す。その瞬間真由里は思いっきり裕司の顎を殴りつけアッパーを決めた。
「ねこだまし…だ…と…」
そう言って裕司は完全に気絶した。
「はぁ、はぁ、てこずらせてくれたね」
真由里はそういうと裕司を担ぎ、そのままホテルに戻って行った。
優里奈は一人でニューヨークの街を歩いていた。
「どうなってるの?これは?」
あたりを見回すとそう、「遊んでいた」のだ。今の時間は社会人は働いている時間のはずだ。なのに皆様々な遊びをしていた。中には車で競争したり、本物の拳銃やナイフを使って殺し合いをしている者もいた。
「皆楽しんでる?」
優里奈はあっけにとられていた。その時、車が優里奈に向かって突っ込んできたのだ。優里奈は慌てて回避する。
すると、「あべべべ!!」「ぐちょっ!!」という声が聞こえた。優里奈が慌てて振り向く。すると、そこにあったのは赤く染まった車と二人の死体だった。
「うっ!!」
優里奈はそれを見ると凄まじい程の吐き気に襲われた。優里奈が見た光景はかなりえげつないものだった。車は壁に思いっきりぶつかっており、二人の人が車に轢かれ、壁に激突し、そのまま壁が血であかく染まるまで磨り潰されていた。二つの死体は全身から血が噴き出しており即死だった。
「何よこれ…なんでこんな…」
優里奈が言うと車の中から人が出てきた。
【くっそ~!壁全体を赤くしようとしたのに失敗したな~。もう一回誰か轢き殺すか~ははは】
英語で呟いていたので細かい意味は聞き取れなかった優里奈だが言葉の意味は理解し絶句した。
【ちょっ、ちょっとあなた!何やってるの!?なんでこんな…】
優里奈は英語で相手に怯えぎみに問い詰めたすると相手はこう答えた。
【いやぁ、車で人を轢いて壁を赤く染める遊びをしていたんだけど上手くいかなっくて】
【いや、だからなんでこんな…】
【だから!遊びだよ!遊び!今度は君を轢き殺そうか?もう少しで壁を全て赤く染めれそうなんだぁ】
「ひっ!」
優里奈は一目散に逃げて行った。幸い、相手は追っては来なかった。
「はぁ、はぁ、なによあれ?何がどうなって…うっ…うっ…」
優里奈は完全に泣いていた。人があんな残酷な死に方をしたのだ。動揺するのも無理はない。さらに言うと優里奈は人が死ぬ姿を見たことが無いのだ。
「あんな…うっ!」
さっきのことを思い出してしまった優里奈は吐き気に襲われた。
「優里奈?どうしたの?」
聞こえてきた声の主は真由里だった。なぜだろう…真由里は傷だらけだったし、なぜかボロボロの裕司まで担がいでいた。
「真由里こそどうしたの?ボロボロだし、裕司も気絶してるし…」
「ちょっと喧嘩に巻き込まれちゃってね。何とか私と裕司で追い払ったんだけど裕司はその後気絶しちゃってそのままホテルに帰ろうとしたらあなたがここにいたね」
優里奈の質問に真由里は淡々と答える。そして、真由里は「あなたは?」と聞いてきた。
すると優里奈はついさっき起きた出来事を泣きながら話した。すると真由里は驚愕の顔を見せた。
「そんな…そんな馬鹿なことが…だって…」
真由里は深く混乱していた。
「とにかくホテルに戻ろう。もう夕方なので輪と海廻も帰ってるはずだしね」
真由里が言うと優里奈も頷きそのままホテルに帰って行った。
時は数時間に遡る。
輪と海廻は二人で遊園地を回っていた。
「いっぱい乗り物に乗れて楽しいね~!輪!」
「ああ、そうだな」
そんなやり取りをしながら乗り物に乗っていた。
「あ、あっちでパレードがやってるよ!行こう!」
海廻がそう言うと輪は「分かったよ」と言ってパレードを見に行った。
パレードの周りは人混みがすごく、輪と海廻は人混みの波に呑まれていった。
「海廻ー!どこだー!」
どうやら完全に離れてしまったらしい。
「どこにいったんだ?」
輪は手あたり次第海廻を探したがどこにもいなかった。なので、遊園地の外に出て探すことにした。
「いないな~。ホテルに戻った方が速いか」
その瞬間後ろから電撃が走った。
…何だ…これは…?
何者かがスタンガンで輪の首に電撃を流し込んだのだ。輪はそのまま何者かに運ばれていった。
「ここは?」
輪が目を覚ましたが、今の状態が分からずにいた。
どうやら両手が椅子の後ろに鎖で繋がれていた。これでは身動きが取れない。
「やぁ、起きたみたいだね…」
現れたのは白人の外国人だった。輪は相手が日本語で話していたので驚いた。
「お前は?」
輪が尋ねる。すると、相手は答えた。
「俺はジェイソン。ジェイソン・ブラックだ」
「何で俺を捕まえた?」
「いや~、ちょっと実験台が欲しくてね…」
「実験台?なんの?」
輪が尋ねる。するとー
「なんのって?決まってるじゃあないか「拷問」だよ」
そういってジェイソンは輪の右足に針を突き刺してきた。
「があああああ!!」
輪は悲痛な叫び声をあげた。
「ははは!最高だ!その悲鳴が溜まらない!!」
ジェイソンが興奮するように言ってきた。さらにジェイソンはペンチを持ってきて輪の左手の親指をペンチで潰した。
「ああああああああああ!!!」
「はははははははははははははははははははははははahhhhhhhhhhhhhhhh!!!!」
ジェイソンは輪の叫び声を愉快に聞いていた。
その後、輪は様々な拷問を受けた。体中に電撃を浴びせられたり、顔を鈍器で殴りつけられたり、体中にナイフで切り付けられた。
「あああああ!がああああああ!!あああああああああああああ!!!!」
「壊れろ!壊れろ!壊れろぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!はははは!いいね!君ぃぃぃぃいい。中々頑丈だぁぁあ。」
輪は夥しい姿になっていた。足は針に貫かれ、ペンチで四肢の指を全て潰されていた。さらに爪を全て剥がされ、身体全身はナイフで切り刻まれ体中から血が噴き出していた。
「あの肉団子は何かわかるかな?あれは前に拷問して殺した姿なんだよぉぉお。」
「っつ!」
輪は自分もああなるのかと思うと恐怖した。しかし、何故だろうか。輪はほとんど痛みを感じなくなっていった。
「僕がこんなにも拷問に嵌っちゃったのは一か月くらい前だったかな?その時に拷問されてる作品を見てそれをやってみたいって思って拷問したんだぁあ。それが楽しくてね!何よりも相手も拷問されてとても幸せそうなんだあよ!」
拷問されて幸せ?バカげてる…輪はそう思ったがさらにジェイソンは続けた。
「これまで十人ほど壊してきたけど君はとても頑丈だああ!嬉しいよおお。うれうるれうるるうるえううれるるえるえうるるえうるえうるうれれれれれれれははははははははあはははああああああ!!!!!!」
ジェイソンは狂っていた。最早正気は保っていなかった。
輪はさらに拷問が続けられた。だが、輪は次第に拷問に快感を感じるようになっていった。
「はははははは!気持ちいい!さいこうぅぅうぅぅぅぅうううう!はははははははは!!!!」
「はははは!そうだろそうだろ!もっと!もっとだあああああ!!」
輪は今、拷問を受けていた。最初は苦痛だったが次第に快感に変わっていった。狂っていく。クルウ。
「俺はは今幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ幸せ……あれ?????幸せって…何?」
輪がそう言うと何かを思いついたように続けて呟いた。
「あああ。こんなに気持ちいいんだったら…君にもしてあげないとね」
輪はそう言って鎖をほどきジェイソンを蹴り飛ばした。
「はべし!!」
ジェイソンは変な声を上げた。
「なぁ、ジェイソン君君も拷問を味わってみ・な・い?」
輪がそう言うとジェイソンは「ふざあけんなああ!」と言い輪にタックルをかまそうとするが輪はすかさず避け、逆にジェイソンの後ろをとり、蹴り飛ばした。そして、近くにあったスタンガンを使ってジェイソンの首に思いっきり電撃を流し込んだ。
「ぎょええええええええええええ!」
ジェイソンは絶叫を上げていた。それもそのはず輪の拷問を受けているのだから。
「どうだ?気持ちいいだろ!ほら!気持ちいいと言え!!」
輪はジェイソンが自分にしたこととほぼ同じことをやっていた。爪を剥がし、ペンチで四肢の指を潰し、鈍器で殴りつけ、ナイフで全身を切り刻んでいた。
「ははははははははは!気持ちいいいいいいいい!!!!キモテェいいいいいいいいいいいい!」
ジェイソンはトチ狂ったように言った。すると輪はスタンガンを十個ほど用意しそれら全てをジェイソンの身体に取り付け全てにスイッチを入れた。
「あばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!!!!!!!」
ジェイソンの全身から煙が出た。そして、完全に絶命していた…
「あなたがいけないんだ…こんな楽しいことするから…はははは…」
輪は笑いながら天井を眺めていた。
「輪、まだ帰ってないの?」
海廻が驚いたように裕司たちに聞いてくる。
「どうも、そうらしいな。あいつ、どこで何やってんだ…もう、八時だぞ…」
裕司が言うと、優里奈が焦りの顔を浮かべた。
「もしかして、輪はあいつらに捕まって…」
優里奈が言うと真由里は「私たちだけで探そう」と言い皆は首を縦にふった。
輪を探し始めて一時間が経っていた。だが、すぐに輪の私物が見つかった。
「これって、輪のネックレス…」
「おい、あっちを見ろ!これも輪の私物だぞ!」
海廻と裕司が順番に言ってきた。すると、真由里は何かを思い出したかのように言ってきた。
「そういえば、この先に廃棄された工場があるよ」
「…ならそこに行ってみよう!何か嫌な予感がする」
裕司がそういうと廃棄工場に向かい無事に廃棄工場に着き輪を捜索していた。
「輪!どこにいるの?」
海廻が呼ぶが返事が無い。
「おい、あそこ!何か明るくないか!」
裕司が言うと皆もそのことに気づいた。そして、四人はそこに向かった。
「輪!」
海廻が名前を呼んだ時輪は後ろを振り向いた。
「?ああ、海廻、裕司、真由里、優里奈どうしてここに?」
輪が聞いてくる。が、他の四人は輪の今の姿に絶句していた。なぜなら全身がボロボロで髪の毛が白く染まっていたからだ。
「何があったの?」
優里奈が輪に聞いてくると輪は起こった事を全て話した。
「こ、殺したの?」
「…仕方なかったんだよ…こうするしか…俺が殺されてた」
「そ…そう…よね」
優里奈がバツが悪そうに返事をした。
「そうだよ…輪は自分を守る為に仕方なかったんだよ。皆、帰ろう!」
海廻が言ってくる。海廻だけはやけに落ち着いていた。
「ああ、そうだな。輪も無事だったわけだし」
裕司がそういうと皆すぐに帰った。
ジェイソンの死体は誰にも発見されることは無かった。元々立ち入り禁止の廃棄工場だった為誰も近づかなかったしさらに、その数日後この廃棄工場は長年の風化によって崩れていった。この事件の真相はは輪たち五人しか知らない。闇に葬りさられたのだ。
裕司と真由里は二人きりで話をしていた。
「お前は一体何が目的なんだ?」
裕司が真由里に尋ねる。
「皆の幸福…それだけ」
「輪は拷問されてたんだが?あれも幸福だっていうのかよ!?」
「違う!」
裕司の問いかけに真っ先に真由里は否定した。
「まぁ、いくつか分かったことがある。お前は嘘をついてる」
「嘘なんて…」
「いいや、ついてる。まぁ、それ含めて分かったことは三つだな。まず一つ目はお前に記憶を消す力は無い。あったら今日俺を気絶させた時に使えばいい。それをしなかったのはお前にそんな力は無いからだ。二つ目はこの世界はお前が作った世界じゃない。」
「何でそんなことが言えるの?」
真由里が質問した。
「まぁ、話は最後まで聞けよ。もし仮にお前が作った世界なら俺を近くで監視する必要が無いからだ。この世界のこと自体はよく分かんないけど自分の作った世界なら自分の思い道理に色々見れるって思った方が自然だ。それに、今日のお前の反応を見る限り予想外の事態に動揺していた。この世界を作った元凶ならそんな動揺するとは考えられない。そして最後、お前はこの世界は輪が関係してる」
「……」
真由里が黙り込む。
「これに関しては本当に俺の感。悪いけど根拠は無い」
裕司が淡々と説明した。真由里は沈黙していた。
「ま、答えたくないんだったらいちいちお前を問い詰めたりはしない。けど、俺は俺なりに動く」
そう言って裕司は去って行った。
真由里はその後呆然とし、こう呟いた。
「私は…間違ってたのかな?幸せを求めることがまちがってたのかな?」
真由里は一人で泣いていた。
修学旅行三日目になった。俺たちは今、ホテル内にいた。今日は外に出る気には皆なれなかった。
特に優里奈と裕司と真由里が外に出たがらなかったのだ。
俺は昨日ジェイソンという男に捕まり拷問を受けていた。だが、俺はそれを返り討ちにし、逆にジェイソンを拷問し返した。
あの時の後遺症なのか髪は白く染まり、目の色も若干変化していた。右目はいつもの黒色のままだったが、左目が青白くなっていた。
俺はあの時拷問をされて…苦痛だったはずなのに快感に変わっていった。そして、相手にも同じ目に合わせようと思った。そして、俺は拷問をし、楽しんでいた。「幸せ」だと思ったのだ。
俺は分からなくなった。幸せってなんだ?
「今日は一日中ホテルの中か~。暇だね~。まぁ、昨日あんなことがあったんじゃ当たり前か~」
「そうだな~」
俺と海廻はそれぞれ口にした。
「でも、良かったよ。輪が無事で!」
海廻がそういうと俺は「そうだな」と言った。実際すぐに見つかったのはラッキーだった。
俺はあの一件から分からなくなった。幸せって何?俺はなぜあの時快感を感じていた…俺は…
壊せ…コワセ…
突然頭の中でそんな声が聞こえた。すると俺は海廻を押し倒し、海廻の身体を強く押し付けていた。
「ちょっ、輪!痛い、落ち着いて!!」
「はっ」
俺は我に返り海廻の身体から降りた。
「ごめん」
「いいよ、全然気にしてないし。輪は多分昨日のことで少し変になってるだけだよ」
俺が誤ると海廻がそう言ってくる。俺はなぜあんなことを?
「私はどんなことがあっても輪の傍にいるよ。何があっても」
そう言って海廻は俺に寄り添ってきた。嬉しいはずなのに俺は何も感じない。いや、嬉しいのは嬉しいのだがいつもの幸せな…あれ?いつもの幸せって何?分からない。でも、海廻の言葉には返事を返さなければと思った。
「ありがとな、海廻」
「変なの。当たり前でしょ?」
海廻がそう答えると俺は安心したように眠りについたのだった。
「さて、お土産は何を買おうかな~」
俺はホテル内の店でお土産を買っていた。昨日あんな事件があったので買う余裕がなかったのだ。
「輪…大丈夫かな?輪だけじゃないけど…」
俺のすぐ隣には真由里がいた。
「また、監視か?」
俺は海廻を煽るように聞く。
「今日は違う」
真由里は淡々と答えた。
「どうなるんだろうな…これから。今の状況は明らかに異常だ。お前はこれが楽園だとでもいうのか?」
「………」
真由里は無言のままだった。
「で?じゃあお前は何しに来たんだ?」
「あなたと同じお土産を買いに」
真由里は淡々と答えた。
「なぁ、永遠なんて…無いんじゃねーの?」
俺はそう答えた。だが、真由里は「そんな事無い!」と言ってきた。
「じゃあ、お前はどうしたいんだ?」
「…分からない」
「ふん、昨日は俺を気絶させて無理やり止めた癖によ…」
「それについては…ごめんなさい…」
真由里が俺に誤った。まぁ、お互い無事だったのでそこまで気にしているわけでもなかった。…痛かったけど…
「ま、今は買い物だ買い物!」
俺がそう言う。すると、真由里も「そうだね」と言いそのまま買い物をした。
優里奈は一人で外の景色を眺めていた。
「そう言えば海に行った時もこうやって景色を眺めたっけ…あの時は五人で眺めていたけど」
昔と今の違いに悲しく思っていた優里奈だった。今回の修学旅行は最悪だった。
「何でこんなことに…」
そう言って優里奈は一人で泣き崩れた。
しばらくして優里奈は裕司に会いに行った。
「優里奈じゃん。どうしたんだ?」
裕司が尋ねてくる。すると優里奈は「話があるわ」と言って裕司にそう言って二人で話をした。
今までの違和感を全て裕司に話した。そして、裕司と真由里の関係に違和感を持っていたことも話した。
「はぁ、お前は勘が鋭いな~。」
裕司は呆れたように答えた。そして、裕司もまた優里奈に全てを話した。真由里に記憶を消す力が無いと判断したためこれ以上隠す必要もないと裕司は判断したのだ。
「裕司は私たちの知らないところで色々あったみたいね」
優里奈が驚いたように言う。
「まぁ、ちょうど良かったわ。俺一人じゃあ限界があるからな。真由里も俺の邪魔をしてくるし。まぁ、真由里も俺たちに対して敵意を持ってないのも確かだが…」
「でも、真由里は必ず邪魔をしてくる」
優里奈は冷静に裕司に言ってくる。
「確かにその通りだ。だから、優里奈にも協力して欲しい」
裕司がそう言うと優里奈は首を縦に振り了承をした。
ーこうして、修学旅行三日目は終わりを迎えたー
修学旅行四日目はほぼ、帰るだけだ。朝には身支度を済ませ、昼に空港に行く予定だ。
「さてと!行こう!輪」
「…ああ」
輪はそう言って海廻の後についていった。
俺たち五人は全員合流し自分のクラスの元へと行き、出欠確認が終わった後に空港へ行った。
「楽しかったね!皆!」
海廻が無邪気にそう言ってくる。
「ああ、そうだな」
輪がそう言うが、他の三人は黙り込んでいた。海廻は疑問符を浮かべていた。
「楽しくなかったの?」
海廻が聞く。すると裕司が怒りを露わにした。
「ふざけんなよ…これのどこが楽しかったって言うんだよ!」
海廻がビクッと肩を震わせ、怯えていた。すると優里奈もー
「確かに海廻。あなたの言うことはおかしいわね。どうかしてるわ」
「な…何で…」
海廻は激しく動揺していた。
「おい、二人ともやめろよ!」
俺が裕司と優里奈を諫めると二人は黙り込んだ。
その後、飛行機に乗り込み行きと同じ席だったがー俺たち五人は皆黙り込んでいた。
日本に到着し、輪たち五人全員日比野高校に戻っていた。輪たち五人は会話が無く完全に喧嘩していた。
裕司と優里奈は二人ですぐに家に帰って行き真由里も一人で自分の家に帰って行った。今学校に残ってるのは輪と海廻だけだ。
「俺たちも帰るか」
「そうだね」
そう言って俺たちは二人で帰った。
俺は夢を見ていた。あの後家に帰りそのまま寝てしまったのだ。
白い世界だった。だが、ただ白いだけではなかった。黄色いユリの花にラベンダー、ホオズキの花が咲いていた。これらの花の意味は「偽り」や「不信感」、「妄想」などを表す花だ。
さらにこの白い世界は花が咲いていることはあったが景色の色が変わることは無かった。だが、今は白だけではなく地面が黒くなっていた。正確に言うと白と黒がある…いわゆるモノクロの地面だった。
俺の目の前に小さい少女が現れた。どこかで見た顔だが思い出せない。
「何でこんなことに!この世界は楽園のはずなのに!私の思うようにいかなくなってる…こんな…こんなことはあってはならない!駄目なんだよ!」
少女はそう言っていた。俺は今のこの少女にどう接すればいいか分からない。
「ねぇ、輪…今のあなたは幸せ?」
「………」
俺は答えられなかった。だって俺は…「幸せが分からなくなった」から…
「答えてはくれないんだね…ねぇ、私は間違ってたのかなぁ」
少女が聞いてくる。
「分からない」
俺は素直に答えた。だって本当に分からないから。
俺がそう言うと少女は消えて行った。
「もうすぐ十二月だな…」
俺はそう呟いた。そして、世界は黒くなっていった。
【第7章】更新しましたー。いやー、やっと修学旅行終わった。輪たちはどうなっちゃうんでしょうねー。
次からはいよいよ物語のラストに向けて書いていきます。予定では10章は確実に超えますねー。とはいえ、締めしか考えてないからなんとも…
これからは多分かなりシリアスに…というか多分ここからはシリアスになります。もう日常回は挟まない予定なので。(あくまでも予定)
次でいよいよ白い世界で出てきた少女の正体が明かされます。(多分)てか、多分バレてますよねー。
それではまたお会いしましょう!




