【第1章】園花海廻
引きこもり高校生の黒羽輪は1年前のことを思い出していた。
今から約1年前の高校1年生の春のこと。輪は学校に登校していた。気怠そうにしていると後ろから声が聞こえてきた。
「おはよう!輪!」
「うお!ってなんだ海廻か。驚かせるなよ」
「ごめんごめん!そんな怒んないで」
彼女の名前は園花海廻≪そのはなうみね≫輪が中学2年生の頃に知り合った少女だ。見た目は輪より少し背が低く、小顔で優しそうな顔だちをしており、身体も華奢であり背中まで届いている長い青がかった黒い髪、そして全てを優しく包むような綺麗な黄色い瞳が特徴的な少女だ。そう、いわゆる美少女だ。
「まったく、いつも言ってるだろ?いきなり後ろから来るなってお前はあいかわらずだな」
輪は呆れたように海廻に言った。すると、
「輪の反応が面白いから悪いんだよ~」
と海廻は返した。
「ねぇ、輪このままじゃ遅刻しちゃうよ?」
「なっ!?マジか…急ぐぞ!」
「はーい♪」
そうして二人は走りだした。
そうして、チャイムの音が響いた。
「はー、何とか間にあったー。」
「速いね!さっすが陸上部!」
と輪と海廻はやりとりしていたがそこで輪が呆れたように
「昔の話だ。もう陸上はやんない。」
とそういうと海廻が「何で?」と疑問符を浮かべた。
「これから俺は小説家になるための勉強をするからな。だから陸上はやめる。」
「なんでまた小説?」
と海廻は聞き返した。すると輪は答えた。
「だって話を考えたりして表現すんのかっこいーじゃん!陸上はそもそも体力作りのためにやってたしなー!本命は小説家!」
「だったら中学から文芸部とかに入ればよかったじゃん」
「甘いな、海廻…中学は体力作り、そして高校から小説作りをする。昔からそう決めてたんだよ。」
「何?その無駄なライフプラン」
海廻はあっさり輪の計画を否定した。
「うるせーよ!だったらお前はどうなんだよ!!」
「私は皆が幸せならそれで一番だよ?幸せな皆を見てると楽しいし」
「だったらボランティア活動すりゃいーじゃねーか?」
「でも今は輪と一緒に学園生活を楽しみたいな!」
そういうと輪は照れたように
「そういう紛らわしいこと言うんじゃねーよ!」
と言うと海廻は
「ごめんごめん!勿論友達としてだよ!もしかして…期待しちゃった?」
「うるせぇ!」
とやりとりしている内に1時間目のチャイムが鳴り響いた。
こうして夏まで何気ないやりとりが続いていた。だが、悲劇は突然起きたのだ。悲劇が起こったのは夏休みが終わろうとしていた8月31日の出来事だった。
時は少しだけ遡り1日前の8月30日。輪たちは次の日の計画を練っていた。輪と海廻、そして2人の男女と4人で。片方の男子の名前は神山裕司≪かみやまゆうじ≫。輪の小学生からの腐れ縁だ。見た目は髪は金髪に染めており髪は少し短めであり眼はするどいので威圧的な印象があるが明るくおおらかな性格だ。そして、もう片方の女子は島崎優里奈≪しまざきゆりな≫中学の時は同じ陸上部でありそこからうまが合うため話すようになり今まで交友が続いている。見た目は髪は黒色だが海廻に比べだいぶ短くショートヘアーだが見た目はキリっとした瞳と大人っぽさがある。海廻とは違い美人系な少女だ。性格はとにかくしっかりものだ。天真爛漫な海廻とは正反対な人物だろう。
4人で雑談をしながら明日の夏祭りの計画を練っていたのだ。計画が一通り練り終わった後、裕司がおおはしゃぎをし、「楽しみー!」と言っていた。すると輪が
「裕司!うるせーぞ!今何時だと思ってんだ!」
と言ってきたすると裕司が
「かってーこというなよ!テンション上がっちゃってさ~」
「まったくしかたないわね。でも、黒羽のいうことももっともよ。ちょっと落ち着きなさい。神山」
「分かった分かった。黙るから。なんだよ輪といい島崎といいみんなしてさぁー」
「私は何も言ってないんだけど…」
「やっぱり海廻ちゃんは天使だよ!俺の心のオアシス!」
「はいはい、明日夏祭りなんだからさっさとねるわよ」
「はーい」
優里奈が言うと海廻と裕司が返事をしてすぐに寝たがそれより早く輪は寝ていた。
そうして8月31日の夜夏祭りが始まった。
「うっひょー!たーーんのしーーーなーーー!!!」
裕司はとても元気だった。裕司は元々明るい性格で祭り事が好きなためこういうのには目がないのだ。
「あんまり騒いでんじゃないっ!うるさいわよ!」と優里奈は裕司に注意する。裕司は「はーい」としょぼくれた感じで返事をした。輪と海廻はお互い裕司に対してやれやれといった顔をしていた。とはいえ楽しんでいるのは皆同じであった。裕司と優里奈は金魚すくいを、輪と海廻は射的をしていた。
「うーーん。何で当たんないの!!」
海廻が射的の景品に当たらずごねていた。
「当たんねーもんはしょうがねーだろ…」
「じゃあ、輪が取って!ねぇ取ってよ!」
「分かった分かった取る!取るから!…どれがいいんだ?」
輪が尋ねると「あれ!」と海廻は指をさした。すると輪は「分かった」といい、なんと1発で景品を当てた。輪は昔から何でもそつなくこなす器用な人間なのだ。
「ほらよ」といい景品を海廻に渡す。「ありがとう!」と海廻が言った後中身を開けた。すると中に入っていたのはとある花柄の髪飾りとネックレスだった。海廻は髪飾りの方をを自分の頭につけ、ネックレスを輪に渡した。
「これは個輪にあげる。両方いらないし。それに取ってくれたお礼」
「ああ、サンキュー。でも、そんなんで良かったのか?もっといいいの狙えたぞ?」
輪はそう言うが海廻が
「ううん。これが1番いい。ありがとう!輪!大好き!!」
と満面の笑みでそう告げた。すると輪が顔を真っ赤にして
「だから、そういう紛らわしいことをいうな!恥ずかしいだろ!?」
この時までは皆とても楽しんでいた。この時まではー
夏祭りが終わり、皆家に帰ることになった。裕司や優里奈とも別れ輪と海廻の2人になった。異変は突然起こった。海廻がいきなり倒れたのだ。そして輪は慌てて輪を抱きかかえ声をかける。
「おい!しっかりしろ!!しっかりしろ!海廻!海廻ぇぇぇぇ!!!」
その後海廻は病院に搬送されたがその後息を引き取った。突然の親友との別れに心が追い付いていなかった。
「何でだよ…」
と輪は呟いた。すると後ろから「黒羽輪さんですね。」と声が聞こえた。そして
「あなたは?」と輪は尋ねた。すると、
「海廻の一応保護者…ということになります。三代美代子と申します。海廻の家の事情はしってますよね?」
と美代子は尋ねる。すると「はい」とだけ輪は答えた。海廻は施設の人間だった。赤ん坊のまま捨てられ偶然施設の人に拾ってもらい育ったのだ。なので、両親の顔は知らないのだ。そこまでは輪も聞いている。だが、この後輪は衝撃を受けることになるなぜならー
「彼女…海廻はね、不治の病にかかっていたのです。3年前から。でも、それをずっと隠してきた。あなたたちに心配をかけないようにと。」
と美代子がその事実を伝え輪はそのことに全くきずけなかったからだ。
ー何が友達だ。何が親友だ。結局俺はあいつのこと何もわかってやれてなかったんじゃないか
輪は悲しみに打ちひしがれた。もう何もする気が起きなかった。海廻の体のことを分かっていなかった自分の無能さを呪った。気づいてあげられなかったことにひたすらー
その後葬式が行われた。海廻は施設のたくさんの人に愛されていた。海廻の葬式はそんな愛と悲しみがないまぜになっていた。施設の子供達だけではない。施設の大人たち、学校の人々、裕司、優里奈、たくさんの人の思いがこの葬式にはあった。
だが、この場に輪はーいなかった。
その日から輪は学校に来なくなった。裕司や優里奈とも疎遠になっていった。
ー本当に大切なものは失ってから分かるものー
それを輪はどうしようもないくらいに思い知らされた。
それから1年後今に至る。
「もう、あれから1年か。時はあっという間に過ぎ去るな。あいつが死んだように」
さらに輪は続ける
「また海廻に会いたい、昔見たいに幸せでいたい、悲しみも、憎しみも、虚しさも、切なさも、息苦しさも、怖さも、争いもない、嘘のない、誰かを失うような苦しい痛みもない、そんな世界に行きたい。この世界がそんな世界だったらいいのに。」
ーあなたはそれを望むの?ー
突如聞き覚えがあるようなないような声が聞こえてきた。だが、輪にとってそんなことはどうでも良かった。輪はそのまま
「ああ、そうだ。そんな世界に行きたい!そう!楽園に!」
すると声は
「なら、その楽園の連れて行ってあげましょう。」
そう言い輪の世界は黒から白に染まった。
-そして輪は選択に迫られることになるー
はい、第1章読んでいただきありがとうございます!なんか話がちょっと動きだしたかな?ってとこですね!この物語はまだまだ続きますので読んでいってください。後、ご指摘などございましたら気軽に言ってくださいな。結構拙い文章だと思いますので。あとこの作品を気に入ってもらえたら本当に嬉しいのでそういうコメントも…あったら嬉しいです!それでは次回にまた!




