【序章】黒い少年の現在
何もする気が起きなかった。退屈だった。彼はそう思っていた。少年の名は黒羽輪、高校二年生。とある理由で学校に行かなくなってしまった…いわゆる引きこもり状態だった。彼の外見的特徴といえば体は痩せ細っており顔はくたびれていそうな形相をしており、髪は黒色で肩にぎりぎり届かないくらいでそして何より全てを黒くするような漆黒の眼が印象的な少年だ。
そんな彼はベッドの上で独白した。
「何もする気が起きねぇ…」
寝転がりながらそう呟く。だが、外に全く出ていなかったため食料はとうに尽きていた。このままでは身が持たないだろう。そこで輪は覚悟を決めたように一言「外に出るか」そういって外に出たのだった。
実に1年ぶりの外であったためか体がとてつもなく重いと輪は感じていた。襲い掛かる日差しの光、部屋とは全く違う外の空気、あちこちに並ぶ街や建物の数々、それら全てが輪を一斉攻撃してくる。
「頭がおかしくなりそうだ」
そう呟いた。特に今は夏の時期だ。なおさら熱いしエネルギーを奪っていく。
「さっさと飯買って帰るか」
そう言って店に駆け込むように走っていった。もちろんろくに運動をしていなかったので走るのはものすごく体に負担がかかったがそれ以上に速く家に帰りたかったという思いが勝っていた。店に駆け込むとインスタント食品をありったけ買った後店を出て家に帰って行った。
「つ、つっかれた~~~~。まじで死ぬかと思ったわ。慣れねーことするもんじゃねーなー。」
輪が死にそうな形相でそういった。輪は引きこもるようになってから10日に一度くらいしかご飯を食べていなかった。なのであまり食料が無くなることがなかったのだがさすがに1年も引きこもっていればその食料も尽きるというものだ。さらに親も半年前から海外に行ってしまっている。なので1人で食料を買うしかなかったのである。
「まったく。息子が引きこもってるってのに…薄情な親だな」
輪は呟いた。そして昔のことを思い出していた。輪が引きこもる原因となった、1年前の事件のことを…




