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エリーゼのために

この作品はラジオドラマです。読みにくいと思いますがよろしくお願いします。

洞窟、水の雫の音が響いている。

遠くでアキが泣いている。


(アキ)「(鼻をすすりながら)バカバカ」


こちらの声。

(仙人)「難しかろうてなぁ」

(カズ)「申し訳ありませぬ」

(仙人)「短時間で人の性格を見抜くのは、難しかろうて。

土方歳三を連れてきてても、まあ、すんなりとはいきますまいよ。

人の心の奥に潜む冷徹さを見抜くのは、姫、難しゅうござりまするぞ」


アキ、遠くで鼻をすすりながら泣いている。

(仙人)「御三方。姫が泣きつかれて眠るまで、そして、

成長して目覚めるまで、そっとしておきましょうぞ」

(三人)「ははっ」


『エリーゼのために』のメロディーがずっと流れている。


(アキ)「じい?姫の父、母は?」

(仙人)「はっ、天界にて二千五年に姫が帰ってこられるのを、

心待ちにしておられます」


(アキ)「そう・・・・」

(仙人)「まだ二百年ありまする。しっかりと姫の慕われる若者を

見つけ出し、共に天界までお連れするのがじいの役目でござりまする」


(アキ)「あと二百年か。一目ぼれした若者が、

どんな人だったか分からなくなってきた」

(仙人)「それでは困りまする。姫のわがままで五百年間、

この地上で探し、見つけ出すのがお約束でござりまする」


(アキ)「そうだったね。あと二百年、がんばろーっと」

(仙人)「頑張りましょう、姫様。意外と身近にその若者は・・」

(アキ)「えっ、今何か言った?」

(仙人)「いえ、何でもござりませぬ。ふー、やれやれ」


『エリーゼのために』が次第に消える。


洞窟、水の雫の音が響く。

(カズ)「三人揃いました」


(仙人)「御三方。これよりいよいよ近代戦に入る。ますます

個性はなくなり、今までとは比較にならない大量の若者が、次々と

戦場で命を落としていく。悲しいことだ。姫をしっかりとお守りして

その若者を何とか探し出してくれ」


(三人)「はっ、かしこまりました」

(カズ)「敬礼!」

(ヒデ)「いつのまにか陸軍になっている」

(トラ)「あっ、ほんとだ。今度はどこに?」

(仙人)「二百三高地!」

(三人)「二百三高地?」


大きな電源が入る音。

大画面が起動する音。


(仙人)「ここが二百三高地じゃ。ここを落とせば旅順港。

当時世界最強のロシアの基地。日露戦争の最激戦地じゃ。

塹壕、鉄条網、トーチカの機関銃。何度も総攻撃をかけるが、


全滅につぐ全滅。若者の死体が累々と折り重なっていく。

総攻撃は中止され、いくつかの決死隊が結成された。その

中へもぐり込むのじゃ必ずや姫の若者がおるはずじゃ。

しかと探し出し、ここへ連れて来ること。以上!」


(カズ)「敬礼!」

(ヒデ、トラ)「はっ!」

つづく

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