第12話『夜明け前、騎士達は』
――“超人”と呼ばれるモノが、この世界には存在する。
『統一戦争』終結から――終結前も含めれば、計り知れないほどの年月――千年。どの時代においても、必ず“超人”と呼ばれるモノが存在していた。
その定義とは、『常識と一線を画す』というもの。あらゆる分野において、通常よりも秀でている者は総じて“天才”と呼ばれるが、しかしてそれは、通常の枠内に収まっている。天才と呼ばれる者は、あくまで人間を辞めてはいない。彼らはごく普通の者らと比べて天才と呼ばれているに過ぎないのだ。
では、“超人”とは――常識と一線を画すというのは、どういうことか。
答えは明瞭、単純明快。
――人間を、捨てた者達のことだ。
「さて」
グランティカ帝国騎士団の本拠地の、とある一室。広大な部屋でありながら、されどその部屋にあるのは大きな円卓と、それを囲むようにして置いてある椅子のみ。天上に吊された煌びやかなシャンデリアが、この部屋の唯一の灯りとなっている。
「これで、全員かな」
そこに、七人の騎士が、座っていた。
部屋に響く、青年の声。その声は、聴く者を酔いしれさせるような甘い響きを持ち、その反面、一軍団を引っ張るようなカリスマ性を感じさせるような声だった。
それも当然だろう。声の主は、グランティカ帝国騎士団長にして、《七罪騎士》の一角――【憤怒の罪】ジークヴァルト・ツォルンその人なのだから。
彼の亜麻色の髪が揺れる。蒼い双眸が、円卓を見つめる。視線の先には、ジークヴァルトを除く六人の騎士が、沈黙して座していた。
《七罪騎士》――そう呼ばれる彼ら七人は、この国において最も武力を持つ者達のことだ。
個でありながら軍の力を持つ存在。仮に、この場に一般人が居たとするならば、おそらく彼らを直視するまでもなく失神するだろう。いいや、ともすれば、この七人と所属を共にする帝国騎士や、魔術国シーベールに存在する《王国魔導師団》の魔術師でさえ耐えきれないかもしれない。それくらいに、この部屋は尋常ならざる空気が漂い、そして緊張感が張り詰めている。その原因の一端を担っているのが、間違いなく彼ら七人が携えている武器だろう。
【罪宝】。人知を超えた、人ならざる力を有する、《七罪騎士》が持つ唯一無二の固有武具。
それは、シーベールの――《黄道十二宮》が持つ、【星宝】と似たモノと言えば良いだろう。《七罪騎士》が、それぞれの“罪”に対応する武器を扱う。彼らはそれを使うことで、強大かつ力を手にすることが出来る。
例えば、【暴食の罪】ギード・イェーガーが持つ、《狂喰斧剣》。
先の戦いにおいて、彼は、この《狂喰斧剣》を用いて、オルフェ・ウルフェンの放った魔術を喰べた。
それはまさしく、暴食。
【罪宝】というのは罪名か、あるいは大罪に対応する『悪魔』の伝承を体現した能力が使用可能だと言われている。
元より、【罪宝】を抜きにしても才有る者達だ。他六つも、似たような能力を持っているとするならば、彼ら七人の総戦力は計り知れない。
此処は超人の巣窟であり、その超人とは、彼ら七人の、人間を捨てた者。ゆえに、此度の『静戦』も、シーベールが《黄道十二宮》だけで挑むように、グランティカも《七罪騎士》だけで挑む。
「では、会議を始めよう」
彼らの服装は、鎧姿ではなく、一つのモノ――黒の軍服に統一されている。それはグランティカ騎士団が平常時着ているモノで、騎士団の頂点に座す《七罪騎士》である彼らも、それは例外ではなかった。
ただ一つ、他の騎士達と相違点をあげるとすれば、それは右腕に付けた腕章だろう。《七罪騎士》のみが付ける腕章。それには、各々が背負う『罪』を象徴する生物が描かれている。
憤怒には龍を。
暴食には蝿を。
強欲には狐を。
怠惰には熊を。
傲慢には獅子を。
嫉妬には海蛇を。
色欲には山羊を。
七つの大罪を象徴する動物が描かれた腕章。グランティカ帝国民は、それを一目見ればその人物が《七罪騎士》であるということが解る。また、鎧の母衣に腕章と同じものが描かれているため、鎧装着時でも、彼らが《七罪騎士》だということが解る。
「なぁ団長よォ、なァんでこんな、いちいち集められないといけねェんだ? 速く出撃させてくれよ」
そう発言したのは、白髪の騎士――【暴食の罪】ギード・イェーガー。足が円卓に乗りだし、椅子の背もたれによりかかって座っているその様子は、お世辞にも騎士のそれとは言えない。だが、それを咎める者はこの場には存在しない。何故なら、他六人は理解しているからだ。
ギード・イェーガーという騎士は、騎士という名の狩人だと。
狩人の本質とは獲物を狩ること――転じて、喰らうこと。
それは『暴食』の名に相応しく、故にギードは【暴食の罪】を背負っている。
ギードの獰猛な眼が、彼の気質を表している。
喰らいたい。一刻も早く、あの獲物を喰らいたいという、彼の欲望であり願望が滲み出ている。
「あらあら、相変わらず野蛮なお方ですこと」
しかし、そのことを解った上で、あえて挑発する人間もいる。
ギードを貶すように言葉を発したのは、橙色の髪を後ろで三つ編みにしている女だった。軍服を着ているにもかかわらず、彼女の仕草一つひとつから感じられる気品さが、軍服を軍服でなくしている。その気品さは、座っていても失われることはなく、上流階級の人間のそれを彷彿とさせる。
しかし、彼女の特筆すべき部分はそこではなく、身につけている装飾だろう。まず、左右の人差し指、中指、薬指の三指に付けている指輪。それも市場などに出回っているような安物の指輪ではなく、おそらくそのどれもが一級品であろうものを彼女は身につけている。
そして、それだけではなく、耳にはイヤリング。首にはネックレスなど。騎士である以上、動き回ることは前提であるためか、邪魔にならない程度の数で収まっているが、しかし『騎士』という職業を考えると充分に多い数だ。
だが、たとえ他の人間全員が「止めろ」と言っても、彼女は止めないだろう。これらの装飾品は総て、彼女が奪ったものである以上、彼女はそれを付けたがる。彼女にとって、この装飾品は勝利の証。自分が相手から奪ったという証拠に他ならない。
欲しいモノは奪え。そして、その証を誇示しろ。
それこそが彼女――【強欲の罪】クラウディア・エーデルシュタインの信条であるがゆえに。
「あ? いまなんつッたよ、強欲女」
「ですから、相変わらずギードさんは野蛮だと、そう言ったのですわ」
「ハッ、暇さえあれば金品やら宝石ばっか集めてる女にゃ言われたかねェなァ。オレは戦いたいてェんだよ。やっと骨のあるヤツを見つけたんだ。身体が疼いて仕方ねェ。それともなんだ、オメェが相手になんのか、クラウディアよぉオ?」
「別に、わたくしは構いませんよ。いつでもお相手してさしあげますわ。いい加減決着を付けたいところですし」
「上等だ。女だからって手加減すると思うなよ?」
「そちらこそ、油断してると足下掬われますわよ、ギードさん」
ギードとクラウディア。両者の間で火花が散り、一触即発の雰囲気が訪れる。
互いが得物――【罪宝】を握る。あと数秒もしないうちに、この二人は互いの武器を交わしあうだろう。
そも、《七罪騎士》とはこの国の力の象徴。【罪宝】という、人知を超えた力を振るう彼らは、この国において最も力を持つ存在と言って過言ではない。むしろ、その通りと言っていい。その《七罪騎士》同士が戦えばどうなるか――想像するのは難くない。
「止めなくていいんスか、レオンハルトさん」
「知らん、放っておけ。俺が関わらない戦いである以上、俺が口を挟む余地など無いからな。元より、止める気など更々ないだろう、テオ」
「まぁそうなんスけどね」
諦観を決め込む言葉を発したのは、【傲慢の罪】レオンハルト・ジークハイルと、【怠惰の罪】テオ・ライネッケだ。二人は沈黙して席に座し、事の次第を見守っている。
「あら。じゃあ、もしあなたが関わってたらどうしたの、レオンハルト?」
艶やかな声が、レオンハルトとテオに投げかけられた。声の主を見やれば、そこには、軍服越しでも解るほどの豊満な体つきをした女性が、妖艶な笑みを浮かべながら座っていた。
世の男性の理想の体現と言うモノがあるのならば、おそらく彼女のような人間を指すのだろう。座っているだけだというのに彼女から漂う色香。右目の下に付いている泣きぼくろさえ、彼女の妖艶さを助長している。
彼女こそが【色欲の罪】エルザ・メルダース。まさに、色欲を促す肉体を持つ女。
「愚問。俺が勝つだけさ」
レオンハルトの真紅の眼が、エルザを捉える。それはさながら、獣の王の如く。
他人など知らない。天に立つのはただ己のみでいい――己が力を信じ、勝つのは自分だという確固たる自信が、彼の言葉から伝わってくる。
その在り方は、まさしく傲慢。レオンハルトの視線に充てられたエルザは何も言わず、ただ肩をすくめるだけだった。
エルザも解っているのだ。レオンハルトの実力が如何なものか。ゆえに彼女は何も言わない。
「それに――」
小さく、レオンハルトが呟いた、その瞬間。【罪宝】を手にした両者が動く。
ギードの持つ巨大な剣が、クラウディアを捉える。クラウディアの持つ鎖のついた棍が、鞭のようにしなやかな軌道を描き、ギードに向かう。このまま行けば、間違いなくこの円卓の部屋は戦場と化す――
「別段、俺が止めずとも、奴が止めるさ」
刹那、鋼を鳴らすような音が部屋中に響いた。
両者の武器が激突した音かと思われたがしかし。レオンハルトの言葉通り、ギードとクラウディアの攻撃を止める何者かが、居た。
そこには、一人の女性が円卓の上に立っていた。何処か幻想的な美しさが感じられる、淡い水色の髪。反面、感情を感じさせない無機質な瞳も相俟って、まるで人形のようだ。だが、彼女は紛れもなく人であり、しかし人と言うには、些か“異常”な点があった。
「……いい加減にしてください、二人とも。団長の前ですよ。――少しは、静かに出来ないんですか」
「チッ……オリヴィエ。てめぇ、オレの武器から手ェ離せよ」
【嫉妬の罪】オリヴィエ・ブリュンヒルト。彼女は、ギードとクラウディアの【罪宝】を、それぞれ片手で受け止めているのだ。
その力たるや、およそ人の――それも女性の――モノとは思えない。
「ギード。あなたは思慮深さに欠けます。少しは考えてから発言してください。今はこんなことしてる場合じゃないでしょう? それに、あなたも解っているはずです。
――あなたでは私を壊せません。あなたの本質は壊すことではなく喰らうこと。であれば、これ以上やっても無駄なことでしょう? あなたの七罪の一人であるならば、ここに居る意味を考えてください」
淡々とした口調で、オリヴィエはギードにそう告げる。
貴方では私に勝てない。言外に放たれたその言葉を前に、しかしギードは何も言えない。彼は「チッ」と再度舌打ちをすると、自らの席へと戻っていく。ギードと打ち合う寸前だったクラウディアも、オリヴィエの咎めるような視線を受けながら自席へと戻る。
「申し訳ありません団長。わたしが早く止めなかったばかりに、時間をかけることになってしまって」
「いいや、構わないさ。ギードが好戦的なのは彼の性だ。我らは総じて、七罪の宝に見初められた者。己が背負う業に抗えないのは致し方ないことだ。……とはいえ、せめて会議が終わってからにして欲しかったかな、ギード」
「…………ウス」
そしてこれまで黙していた口から発せられる、ジークヴァルトの声。彼の声に、ギードを咎めようとする意志はない。至って平静に、至って冷静に。彼はこの一連の流れを見ていただけだった。
しかし、勘違いしてはならない。ジークヴァルトの言葉は温厚なモノであれども、しかしそこに一切の感情は含まれていないということを。
彼は先の騒動に文句を言うつもりも、同胞を咎める気なども一切ない。それは己が同胞を信頼してるからでも、己が背負う業に抗えないということを理解しているからでもなく――無論、彼は同胞を心底から信頼しているが、それとはまた別だ――真実、先の騒動に何も感じていないのだ。
ゆえに彼が怒りを抱く必要など何処にも無く、それがまた、ジークヴァルトとレオンハルトを除く、この場にいる全員に、得体の知れない恐怖を抱かせる。
かつて、彼の『憤怒』に魅せられたことがある彼らには、その理由が解っているから。
そして同時に、今度はジークヴァルトを除く全員が、彼に畏敬の念を抱く。多少その形に違いはあれど、根底にあるものは一緒だ。
ジークヴァルト・ツォルンという騎士に畏れ、敬い、そして従するという感情が、六人の中に到来する。
それは、ジークヴァルトという男が持つ圧倒的なカリスマ性。一国の騎士団の長を担うというのは簡単にはできることではなく、その証拠に《七罪騎士》という同じ位階に存在する六人でさえ、彼に付き従うことを是としている。
「今回集まって貰ったのは他でもない。そろそろ、彼の国が攻めてくる頃合いだろう。ゆえ、作戦の確認――というよりは、何が勝利条件か、確認しようと思ってね。勝手に独断専行されたら、全てが台無しになる」
「何が勝利条件……ですか?」
エルザがジークヴァルトにそう問い返す。「そう、我らの勝利条件だ」、と。ジークヴァルトは視線を彼女の方に向け、その内容を話す。
「此度の戦において、我らの勝利条件はただ一つ。シンシア姫殿下を守り抜くことと、シオン・ミルファク少年の殺害だ」
それは先の戦いにおいてでも、同じことだった。ギードはシオンを殺すために先行して遣わされたのだが、オルフェの抵抗やラヴァの介入によりそれは達成されずにいた。だが、達成出来なかったからといって、その目的が変更になるわけなどなく、依然として彼らはシオンを殺さんと狙っている。
「……なぁジーク。今回の作戦が始まってからずっと疑問に思っているんだが、何故そんな執拗にシオン・ミルファクという少年を殺めなければならない? その少年はただの一般人なのだろう? ならば、殺す意味も、価値もないと俺は思うのだが」
疑問を呈したのはレオンハルトだ。
ジーク、と。帝国騎士団において絶対的存在であるジークヴァルトを愛称で呼ぶのは、後にも先にもレオンハルト・ジークハイルだけだろう。ジークヴァルトに向ける彼の視線には恐怖などは一切無く、レオンハルトはジークヴァルトを対等な存在として見ていることが窺える。
それはジークヴァルトも同じなのだろう。ジークヴァルトも彼に親しみを込めて返答する。
「それは否だよ、レオン。彼は絶対に殺さなければならない。そして、おまえの疑問に答えをあげるとするならば――これが、“導き”であるからだ」
「――……なるほど。理解したよ」
抽象的な答え。おそらく、他の者が聞いても何のことか一切解らないだろう。だが、それは他の者であって、この場にいる者には理解できる返答だった。
「では、我々はその少年を殺せばいいと?」
「ああ。だが、それを阻む輩が居る」
「……《黄道十二宮》ッスか」
「然り。彼の国の最強の矛と盾さ。尤も、今回に限り言えば彼らは全軍では攻めてこない。此度の戦はグランティカはともかく、シーベールは隠密に行きたいはずだ。全軍で攻めようものなら、あちらの民草に公になってしまう。ゆえ、戦力は絞ってくるはず。おそらく、我らと同程度の人数だろう。だが、《黄道十二宮》とて彼の国の精鋭の集団だ。位置づけとしては、我ら《七罪騎士》と変わらない。戦力は同等あるいはそれ以上と見てもおかしくはない」
そう告げるジークヴァルトの言葉に迷いは無く、事実として《黄道十二宮》は六人で攻めてきている。尤も、その事実は彼らの知らぬところであるのだが、それを推測するジークヴァルトの思考力は、並のものではないことが窺える。
「んで、オレらは何すればいいんだ、団長? まさか、全員であのガキぶっ殺しに行くワケじゃあるまいし。その《黄道十二宮》を殺ればいいのか?」
「殺す必要は無いさ。言っただろう、我らの勝利条件は姫殿下を守ることと、少年を殺すことだと。
尤も――場合によっては、それも止むなしだがね」
「カハッ、そうこなくっちゃなァ」
ギードが発言する。普段の彼の獰猛な視線は、ジークヴァルトに対してだけなりを潜める。
そして、ジークヴァルトはギードの質問に対し、場合によっては『《黄道十二宮》の殺害』を是とした。
「……しかし、そうなった場合、両国の国家関係は確実に壊れるのでは? いえ、既に姫殿下をこちらへ引き戻した以上、確執が起きるのは当然なのですが」
「そこは皇帝陛下もお考えになられている。陛下のお言葉をお借りするのなら……そうだな。
オリヴィエ、元より我々は、『ただ返してもらった』だけに過ぎないのだよ。彼の国がどう主張しようと、建前など、どうにでもなる。
そも、姫殿下をこちらへ引き戻した時点で、既に剣帝国グランティカは他三国を敵に回したも同然だ。まだ認知されてないとはいえ、この戦が終わるころには他二国には知られているだろう。尤も、この戦の終着点がどうなるのかは、未だ私にも解らないが――この国はもう、茨の道を征く運命にある。ゆえに、たとえ此度において、万が一の場合が起きても、振り返らず進むことを……今のうちに己が胸に刻んでおけ」
「――仰せのままに」
ジークヴァルトの言葉には、圧倒的な重さがある。覚悟、信念……そういったモノを、彼は既に自らの精神に刻んでいる。彼の言葉によって、他の者達はこの"静戦"に対しての向き合い方を変えた。
静謐の戦において、戦うのは限られたごく一部の者達のみ。故に、彼らの勝敗が、両国の行く末を決定づける。
もはやこの身は戻れぬ場所に居ること。それを再度、騎士達は認識した。
「では問おうか。我が同胞、大罪を背負った咎人達よ。
おまえ達の中に、この戦を懼れる者は存在するか?」
それは、星の魔術師達の間でも問われた、問い。
「愚問だな。ジーク、貴様はいつから戯言を抜かすようになった?」
それが故に、騎士達の返答は、問いを否定するモノ。
《七罪騎士》とは超人の集団。超人とは常人とは相容れないモノ。超人を相手にするには、同じ存在をぶつけなければならない。
ジークヴァルトは言った――《黄道十二宮》とは、《七罪騎士》と同位階の存在だと。
ああ、ならばこそ、我らが相手にしないわけにはいかない。
こちらが超人なれば、彼らもまた超人ゆえに。
我らが征くこの道は、茨の道にして蛇の道。だが、それこそ咎人には相応しい。
『――七つの死に至る罪を贖え、咎人よ――』
七つの大罪。それを贖うために、七罪の宝に見初められた騎士達は、遙か過去から存在するのだから。
「重畳。それでこそ、七罪騎士で在るに相応しい」
次に放たれる憤怒の言葉こそ、開戦の号砲。
「では――まずは、星を堕とそうか」
七罪の咎を背負った大罪人が――――動く。




